法案成立から、よりよい制度施行に向けて
研究会の作業は一九九四年十二月、報告書「新たな高齢者介護システムの構築をめざして」として実を結ぶ。それによると高齢者介護の基本理念を「高齢者が自らの意思に基づき、自立した質の高い生活を送ることができるように支援すること」とした。オカミが、自立不能な社会的弱者を、福祉という名の行政処分(措置)として救済するという古いパラダイムを放棄したのだ。
その内容は、1]予防とリハビリの重視、2]高齢者自身による選択、3]在宅ケアの推進、4]利用者本位のサービス提供、5]社会連帯による支え合い、6]介護基盤の整備などを盛り込んでいる。さらに「介護システムのありかたしとして保健・医療・福祉の専門家によるケアチームによるケアマネジメントを導入、費用負担の仕組みとして社会保険方式を提案。給付対象は六五歳以上としたうえ利用者負担も明示