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橋本大 県内のある地域でヘルパーさんの数のことを議論していたら、「うちの町ではヘルパーさん、足りています」というところがあった。でもゴールドプラン的な保健・福祉の計画からいえば、まだ五〇から六〇%ほどの達成率なんです。つまり「それだけのニーズがない。だからいまの数で十分まかなえるんだ」と。

堀田 ニーズがないんじゃなくて、表面化しないだけなのに。

橋本大 他人が家に入っていろいろなことをしてもらうのがいやだ、なんとなく気後れする。あるいは別の方は、ヘルパーさんの来る前日に家中を掃除しなきゃいけないから大変だとか。笑い話のようですがそうした意識、心の壁もこれから介護全般を進めていく上でのひとつの問題点になりますね。

堀田 本当ですね。でもこんどは保険料を収めますから、そうなると「やってもらうのは権利として当たり前だ」といった意識が広がってくるでしょう。心の壁が一度破られれば、あとは大きく変わってくると期待しましょう。

 

必要不可欠な広域連合

堀田 ただそうすると、こんどはそのニーズにどう対応していくのか、行政としては問題ですね。財源もヘルパーの数にしても、規模の小さい地域では単独では対応しきれない。

橋本大 まさにそこを痛感しています。高知県は中山間地域を多く抱えています。県内五三の市町村のうち、なかには人口三〇万人を越える高知市のように、在宅サービスの一二の全メニューをこなせる自治体もありますが、小さな村の中には、現段階ではひとつのメニューしかこなせないところもありますから。

堀田 他県でも、そうした地域は少なからずありますね。

橋本大 首長さんの意識の低さとかではなくて、財政ほかさまざまな問題があるわけです。「サービスがこれしかできませんから保険料は安くしますよ」といっても、権利として一二のメニューが認められている以上、少し過激なことをいえば、裁判を起こされたときどうするかの対応まで考えなければなりません。当初は一定の猶予期間を頂戴してやっていくことになるでしょうが、計画どおりにマンパワーなど整備できるかなという大きな課題があります。

 

 

 

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