新連載 笑う門に福来たれ
● 江戸時代、町人の間で広く愛された「小咄(こばなし)」。短い話の中に人情や世相の機微を取り込みながら、おもしろおかしく結末を結ぶ。世の中ははるかに変われど、当時のこばなしは、時空を越えて現代の私たちにも粋な笑いやペーソスを届けてくれる。
今号からそんなこばなしの数々を、山住昭文氏による著作の中から毎回連載でお届けする。
親不孝 『江戸のこばなし』より No.1
● このこばなしは、安永五年(一七七六年)に刊行された『鳥の町』に掲載されたもの。時代で言えばちょうど、かの「賄賂政治」で有名な田沼意次が老中になった頃。官僚の金権腐敗にあきれる世相はまさに今に同じ。ところでこの息子、果たして親不孝なのか孝行息子なのかしらん。いつの時代も「親の心子知らず、子の心親知らず」…!?
● 『江戸のこばなし』(定価1100円) 山住 昭文著
原作の味わいを残しながら、現代の読み手にもわかりやすく手を加えた軽妙な1冊。筑摩書房から好評発売中。