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●子育て相談の手引●

 

1 保育園における子育て相談

 

(1) 地域の子育て支援としての相談

家族の小規模化、核家族化、少子化の進行は、家庭内の子育てに関する知識の伝承や育児経験の機会を少なくしています。また、都市化の進展は、地域社会の子育てについての相互扶助機能を低下させています。

最近の若い親たちは、家庭内や近隣に育児に関する相談相手がなく、孤立化し、悩んでいる場合が少なくありません。

保育園には、長年にわたって蓄積された子育てに関する知識や経験があります。地域における身近な相談窓口として、保育園は、その保育の専門機能を活用して、育児についての相談に応じることかできます。近年、「地域子育て支援センター事業」として、育児相談を実施する保育園も出てきましたが、今後ますます子育て相談に取り組む園が増えることがのぞまれます。

新しい児童福祉法でも、保育園が育児相談に応じるように期待されています。(第48条の2)

50年前に児童福祉法が制定されて以来、保育園が担ってきた社会的役割は、「仕事と子育ての両立支援」です。共働き家庭が一般化している今日、この役割はますます重大なものになっており、今後も保育園に期待される役割の最大のものでしよう。

そして、近年になって顕在化してきたニーズが、「地域の一般家庭への子育て支援」です。今、保育園に与えられている課題は、在園している子どもたちの保育だけでなく、園児以外の子どもとその家庭への支援です。その支援の方法は、子育てサークルの育成、育児講座の開催等も考えられますが、やはり「子育て相談」が主要な柱といえるでしよう。

保育園が有する子育てに関するノウハウを、育児相談の機能として地域の子育て支援に活用することが、求められているのです。

 

 

 

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