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3)給食・弁当作り

家では、ほとんど中華料理を食べているが、野菜はあまり好きではない。保育園では、日本食のほかに、西洋風のものなど、栄養のバランスがよく取れた食事をしており、本当にありがたく思っている。しかも、先生方の努力で、野菜をはじめ、園では何でも食べられるのである。

子供は同年齢の子供に比べると、背はもっとも高く、体重はもっともあるため、かつまだ「おかわり」も言えないので、給食では足りるのかなあ、というのが、入園する前から一番の心配事であった。先生方のお心配りで、完食する上、おかわりもしているようで、本当に安心した。

ところで、中国でも、弁当を作るが、ほとんどが大人用である。しかも、食べる前に温めるのが普通で、習慣的には冷たいご飯は食べない。言うまでもなく、おにぎりを作った経験もない。日本に来ていろいろな時に弁当に巡り合うのであるが、感心するばかりである。いよいよ、園の「お弁当日」が近づいてくる。園でおにぎりも食べているので、さっそくおにぎりの具や型を買ってきた。当日、はじめて弁当作りに挑戦した。結局、子供は、果物は全部食べたが、おにぎりはほとんど残している。しばらくして、園長先生から、「外国人のためのお弁当」をプレゼントされた。それ以来、弁当日のたびに、子供の好きなものを、本を見ながら作ってみるのである。まだ品目が限られてはいるが、非常に強い味方がついているということで、今となっては、子供の食べたがる弁当は何頁にあるかは、大体覚えている。余裕があれば、もっといろいろな弁当に挑戦したい。

このことから、外国人の子供を預かっている保育園(所)は、子供に日本の風俗習慣などを教える一方、親にも日本の風俗習慣などに対する理解を深めてもらうことも非常に重要であることが分かる。

 

4)連絡帳

今でも暇さえあれば、めくっているほど、子供の成長ぶりが非常にこまめに記載されており、子供にとっても親にとっても一生の財産と言える。

最初は、日ごろ忙しいため、毎日記載する余裕があるのか、また子供の成長は毎日見ているし、本当に毎日の記載が必要なのか、と疑ったこともある。とりあえず、これも日本文化の一つとして受け止め、少し時間をかけて書いてみた。ところが、書いていくうちに、「もっと書きたいのに…」と、記載欄のスペースがだんだん少なく感じるようになってきたのである。先生はどんな小さなことでも、子供の成長ぶりをこまめに記載している。また、いろいろな遊びや行事、マナーなども、連絡帳を通じて、日本文化の一角を伺うことができる。特に、子供が遊んでいた時、ちょっとかすり傷をした、というように記載されているのが印象深く、この一言だけでも、親にとっては非常に安心感が得られる。

また、一口連絡帳と言っても、起床・就寝時刻や前日の夕食内容・便の状況、熱の有無など、子供の日常生活を反映するものを、ごく簡潔な記載項目で一目瞭然である、とする「おいたち」のようなものもあれば、ごくシンプルのものもあるようである。われわれは、幸いにも、「おいたち」の連絡帳に巡り合えて、本当によかったと思う。

 

 

 

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