パネルディスカッション
外国人保育における保健活動
座長 谷口正子(大阪国際女子大学教授)
パネラー 細井マサ子(平塚市・横内保育園園長)
費文怡(マーヤ保育園 保護者)
小高勢津子(八尾市立山本南保育所看護婦)
パネルディスカッション レジメ
─座長自己紹介に代えて─
大阪国際女子大学 谷口正子
(1)本課題取り組みの動機
1] 自分の子どもがアメリカで受けた多文化理解保育・教育
2] 多文化理解教育における先輩国アメリカでの夥しい出版物・教科書
3] 幼児教育科学生への多文化理解教育の必要性痛感、平成4年から講義開始
教科書を求めて→自分で書くはめに(添付資料)(他にも出版され始めている)
(2)講義内容:幼児保育・教育における真の多文化理解とは─理念と必要性―を強調
文化・人種の違いとは何か、保育者・子どもへの反差別の感性を培う人権教育
(3)多文化理解講義前・後の学生の心情の変化、実習先での対応の変化
(4)学生の見た実習先での問題点
回りの日本人の子どもの異質なものへの排除はやはりある
“Aちゃん嫌いな人、はーい”と皆が手を挙げる・・・など
→保育者の外国人の子どもへの探い配慮とそれを納得して見守る日本の子ども
深い配慮:子どもの1日も早い心の平安と背後にある文化を大切にする心
多様性ということ─生物学的多様性と人種・文化の多様性
多文化理解とは多様性を享受することである。「多様性をもたない生物はたやすく絶滅する」ことは生物学の常識である。進化ということも言ってみれば多様性の結果である。生物は多様性があるからこそ環境の変化に適応できる種が生き残ってきたと言われている。
私たちは、いろいろの違いをもって生まれてくる。兄弟姉妹といえども誰ひとりとして同じ人はいない。生物は“性”を獲得して子孫を残すようになって以来、染色体上の交叉という生物学的現象により、まったく同じ個体はできないような仕組みになっている。
世界に目を向けても、そこには多くの人種がいて、また文化の違いでいろいろの生活様式があるという、そのような多様性が私たち人類を現在および将来にわたって繁栄させるという事実をまず認める必要がある。
人種の違いで言えば、赤道直下に住む人々は皮膚に多くのメラニン色素をもつがゆえに強力な太陽光線のもとで生きながらえることができた。身体的特徴の違いは、長い年月をかけて獲得した現在に続く貴い遺産とも言える。
文化の違いも同様に日常生活に中で私たちが取捨選択した最良の方法そのものである、ととらえることができる。例えば植物の育たない北極近くに住むイヌイットの人達は動物の生の血や臓器から貴重なビタミン源を摂取し生命を守ってきた。もちろん種々の文化も時代の変化に対応して刻々と変化するものではあるが。
このような事実を認めるとき、私たちがなぜ人種や民族、文化の違いを認め合い、尊重しなければならないのかが容易に理解されよう。