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平成10年度埼玉県保育所外国人保育実践セミナー

(平成11年11月6日(金)・7日(土)深谷グラントホテル)

 

《外国人保育の問題点と対応》 講師 萩原元昭先生

記録 門倉 文子

福田百合子

 

1980年半ばから1994年にかけて、外国人労働者の増加に伴い保育所においても外国籍幼児を預かることにより、子供の国際化と日本人だけで何かを行なうには限界があり、世界の人達と助け合って生きていかなければならない現状がある。国際社会で共に生きる日本人の育成が重要な課題になってきた。

(1) 多分化化の問題点

同じ考え方・価値・習慣・言語を認めて尊重する基本的考え方の見直しが必要である。外国籍の親と子供のもつ要求に応じて学習する機会を設定することと、帰国する時に母国の文化に接するわけであるから、今迄育った国の文化を保持しなければならない事に対して、子供が自立するために必要な援助の接点が国や地域のなかに、どのように現実の問題として存在するか考えていかなければならない。

(2) 日本の多分化化社会に向けての幼児教育の問題点

1] 預けたいときに入所できる保育所がない。(0歳児)

2] 幼児期における個性の問題。

3] 保育者がマニアル的である。

4] 保育者が日本の保育が一番であると思い、外国人の母親に対して啓発的である。

5] フルタイム働く人に保育所は預けにくい条件になっている。

(3) 育児の国際化を考えた時に幼児の個性の問題点

日本の保育は縄跳びのできない子にプレッシャーを与えたり、身長・体重の発育グラフを貼ったり、美しい、太っている等の体付きについても、いつでも一緒に仲良くという画一的であり、個性を認めにくい面がある。

外国では一人一人の見えない心理的要求に保護者の方が充足する。自立する環境や援助の方法を考えながら躾は家庭、教育は学校の役割である。各家庭の雰囲気・価値観の違いや自分の持っている遺伝とか経験がそれぞれ異なるので違う子供が育つ、多様性を認めている。

子供たちが就園することによって、市民として、社会の一員として、その役割を獲得していくために、どのような知識や技能が必要であるかの責任を園が担うことができるように家庭と連携し、多分化化されていく中で一人一人の個の違いを受け止め、援助できる方法、環境づくりが大きな課題になっていく。問題は保育者と幼児・保育者と親の人間関係、あるいはコミニケーションのあり方が基本ではないかと思われる。

 

 

 

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