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提案要旨

 

新しい保育サービスと保健活動

 

喜連川慈雨子(大阪市・諏訪保育園長)

 

私の園は昭和26年1月に大阪府によって認可され、以来48年間保育してきた。この間の大きい変化は、保育時間の延長と保育児の低年齢化があげられると思う。

昭和56年までは、3歳児以上の保育で時間も午後5時過ぎまでであったものが、56年の園舎全面改築で0歳から保育するようになり、保育時間も昭和58年10月から延長保育の指定園となってAM7時からPM7時過ぎまでと長くなった。延長保育児も当初の10名内外から、只今は47名と増加し、そのうち3歳未満児が約半数を占める。ちなみに定員は190名、現入所児数は220名である。

低年齢特に0、1歳児は、登園時、検温と視診をよくし、健康時との差異の有無を確認する。2歳児以上は、朝家庭で検温し毎日園のたよりに記入してもらうことにより確認をする。

保護者の労働形態がフルタイムが増加し、12時間近く保育する未満児、特に0、1歳児の健康に影響がないかと懸念していたが、3年前に風邪の流行から肺炎へ移行し入院を余儀なくする乳児が10人程出た。それが殆んど、延長保育児であった。これは園で過ごす12時間が、楽しく遊んでいるようでも乳児の身体に疲労をもたらしているのでは、と思い至った。

保育所の使命は、働く母親が安心して預けられる保育をすることであり、働く母親の要件に応えるべきだと信念をもって保育してきたのに、それが乳児の身体に悪い影響を及ぼすのであれば、保育所は物言えぬ乳児の代弁者として、少しでも家庭で母親と過ごす時間を多くし、保育室の中で大勢で過ごすのとは違った静かでのどかな時を乳児に与えるべきではないか、と保護者に訴えてきた。

しかし、母親も仕事、家事と多忙で疲れ、子どもを思う気はあっても、なかなか育児にゆとりを持つ気分になれないのも事実であろう。

そこで保育所では、園児の身体の異常をいち早く発見し、親に連絡し、園での園児の疾病の罹患の状況や、一般に流行している疾病の情報を知らせて、早く医師の診察を受けるよう勧めている。

また、看護婦の職についている母親から、各職場の病院での乳児の疾病状況を聞き、参考にしている。感染の怖れないと思われる状態でも、いつの間にか感染することもあり、保育者の手指、玩具類、便器等の乳児用具の消毒にも力を入れている。

園で保育中に、熱発や発症のあったときのために、隔離した部屋と、これに対応できる人材がほしいと、園長としては熱望している。

 

 

 

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