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「リフレッシュ1」では主に「野外活動」体験を通じて達成することをねらったが、最初は緊張し、こわばった表情をしていた生徒達も活動が進むにつれ、徐々に打ち解け、笑顔が随所に見られるようになった。野外という開放された雰囲気と、活動に参加できる自由さがそうさせたようである。

野外活動の場合、とくに教科書やノートは必要としない。また、時間内での課題達成を目的とはしておらず、時間的な縛りもなく、課題も自らが見つけだしていくことに意義がある。そうした学校教育ではなかなか設定できない場面を設定することができる利点を持っている。その利点が心の疲れてしまった生徒達に何らかの好刺激を与えたのだろう。

しかし、参加者全てがこの体験を良しとしたわけではなかった。参加者の中に対人不適応傾向の女子生徒が1人いたが彼女にとっては、はじめて出会う生徒やスタッフと行動を共にすることは精神的に相当に負担がかかったようで、途中体の不調を何度も訴える場面があった。また緘黙傾向の男子生徒は、残念ながら最後まで、活動を続けられる状態ではなくなり帰宅していったが、野外炊飯のカレーを一緒に食べたことから参加を続けたいという意志が少なからずあったように思われる。

(2)今後の課題

不登校の児童生徒を対象にした事業を展開するにあたって大きな課題として2つのことがあげられる。

1つは、ねらいの設定である。今年度は「心の癒し」をねらいとして事業を構築した。この事業が定着すれば、不登校の児童・生徒にとって当青年の家は心のよりどころの一つになるであろう。

また、今後はねらいをもう一歩踏み込んで考え、不登校生徒の「生きる力を助長していく方向で積極的に事業構築をしていく必要がある。

もう1つが、広報の方法である。開催要項には、一切「不登校」の文字は使っていない。そのため開催要項を見ただけでは対象が誰なのか分かり難くなっている。たくさんの参加者が集まれば成功するといった性格の事業ではないため、本当に参加してもらいたい、あるいは、参加希望の児童・生徒達に事業内容を伝えるためには教育相談室と常に連携を取りつつ、各学校の心の教育担当者とのネットワークを広げていく必要がある。

(3)来年度の計画

来年度も今年度と同じ名称「心も体もリフレッシュ1・2」で事業を計画した。

「リフレッシュ1」は、野外活動を中心にした内容でキャンプ泊を予定した。

「リフレッシュ2」は、創作活動の種類を増やした内容とした。

いずれも今年度の評価を活かし、「心の癒し」と「生きる力」を支援していく体制で臨む。

 

 

 

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