青少年の自立を目指す吉田町自興学寮
鹿児島県立青少年研修センター 研修主事 平岡 洋次
1 学社融合による心の教育の取組
今日、青少年の「生きる力」を育てることや「心の教育」の充実に努めることが、教育に求められる最も大きな課題となっている。そこで当センターでは、心の教育を推進するために学校教育と社会教育の両者が、共有の場を設定して教育活動を進める「学社融合」に取り組んでいる。
当センターにおける学社融合の取組の体系は次の表のとおりである。
2 『学寮』の取組の流れ
「学寮」とは、児童期からの精神的自立を図るための契機として、子供たちを青少年教育施設等に宿泊させ、異年齢による共同生活をさせながら通学させる中で、甘えや依存心を断ち切り、自立心を育てるとともに、好ましい人間関係の在り方を身に付けさせる取組である。
当県では、郷土の良さを生かした「ふるさと学寮」と称して、平成2年度にモデル市町村で実施された。その後、本事業は、青少年の豊かな心を育む事業として青少年育成のための大きなうねりとなって今日まで継続実施されている。本年度は県下24市町村が実施している。
当センターでは、吉田町や蒲生町の近辺市町村及び鹿児島郡三島村等の遠隔・離島の市町村教育委員会と連携して「学寮」事業を実施してきた。平成9年度には、当センターの機能が更に深まりのある「不自由さの体験」や「ざこ寝体験」等に対応できるように、当センター職員手づくりの「あかぐえ庵」を完成させた。この庵には、青少年に精神の修練の場として感謝する心や思いやりの心などの好ましい人間関係が育まれることを願う職員の強い思いと期待が込められている。
次に、本年度実施した事業の中から、吉田町の事業についてまとめる。