ヤングフェスティバルin海青'97
-広げよう国際交流の輪-
山形県海浜青年の家 研修課長 田村 浩
1 はじめに
本所は、山形県の北端で日本海に面する遊佐町(ゆざまち)にある。遊佐町は東に秀峰鳥海山を望み山裾から広がる庄内平野は延々と延びている。集落は平野部と海岸部にあり世帯数4,700戸、人口約18,500人の農・林・漁業の町で、県内外に社会教育の町、観光事業に力を入れている町としても知られている。
本所は、日本海の波音が聞こえる国道7号線沿いの松林の中に建物がある。設立は昭和46年8月、以来27年を経過し、この間、平成10年3月現在の利用団体数は、7,230団体、延べ人数は約58万人である。
近年、社会の変化に伴い学校・社会・家庭教育の分野においても変革が求められ、生涯学習をより具体的に進める視点として「生きる力」「心の教育」が提唱され、これらに関するいろいろな取り組みが各分野で試みられている。
本所においても主催事業の中に「心の教育」を取り入れ、その推進に努めているが平成9年度の青年向け事業として開催した国際交流について実践事例を報告する。
2 事業のねらい
(1)事業の背景
本所においては、昭和50年代前半より先導的試行事業として主催事業のときに外国籍の人たちを迎え入れて実施して来た。
早くから事業の中に国際交流的要素を取り入れることができたのは、この庄内地方の各市町村が環日本海時代の到来を予測し国際交流の気運を盛り上げたこと、また、本所の往年の指導員たちが関心を持ち継続してその努力を続けてきたことなどによるものである。
本所で国際交流を本格的に取り組むようになったきっかけは、平成9年2月、「環日本海時代へむけての発信」をサブタイトルとして開催した主催事業「われらがふるさと文化考」 において、フォーラムの中で参加者の多くから国際交流の必要性が論じられ、本所への期待を寄せられたことにある。
山形県は、平成7年3月に「山形県第4次教育振興計画」を制定し、教育目標の中のひとつに「国際社会に生きる人間の育成」を掲げ、この目標の具現化に努めている。本所は、このフォーラムにおける議論の盛り上がりに力を得て、施設の活性化、青年層の利用拡大、 関係諸団体との連携向上など諸々の願いを込めて国際交流事業に踏み切ったのである。
(2)事業の目的
企画立案に当たっては「気軽に集い、催しが楽しいこと」「青年たちの協力を得られること」を前提として計画を作成した。