フロンティア・アドベンチャー事業
「青少年の野外活動推進事業」の実践を通して
奈良県立青少年野外活動センター 主査 福嶋一久男
1 はじめに
青少年にとっての野外教育は、自然の厳しさや恩恵を知り、動植物に対する愛情を培うなど自然や生命への畏敬の念を育て、自然と調和して生きていくことの大切さを理解させる機会を与えることとなる。さらに、自然の中での組織的な活動は、きまりや規律を守ること、協力することの大切さや、自ら実践し創造する態度を学ぶなど、体験活動を通じた総合的学習の機会を提供するもので、青少年の育成にとっては有効であると考えられる。
青少年体験促進事業は、学校外活動としての自然生活体験の場と機会を提供し、心の豊かさやたくましさを育み、青少年の心と体を育てる教育の一層の推進を図るために文部省の補助事業として平成元年から開始され、当野外活動センターでは「フロンティア・アドベンチャー」として実施してきた。
この事業は小学校5年生から高校1年生までの児童・生徒を対象とし、青少年の生きる力を育む活動内容である。
2 事業のねらい
自然生活へのチャレンジ体験を通し、自然との共存を図りながら、たくましく生きる体力と気力を育み、限りない創造力と冒険心を養うとともに、様々な困難にも打ち克つことのできる人間の育成を目的としている。
3 事業の概要
本年度のフロンティア・アドベンチャー事業は、7月30日から8月5日までの6泊7日間、奈良県立青少年野外活動第2センターをベースキャンプ地とし、移動キャンプ地には山添村桐山のさざなみ広場を使用した。
この事業は、日ごろの生活とかけ離れた不便さと自然の厳しさの中で、野外での実体験を通じて、大地に根を張り、大空に向かって逞しく伸びる樹のように、子どもたちが自主・自立を身につけることを願って実施した。今までの活動に加えて、本年度は筏づくりや河川の水質検査の体験学習を導入した。