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今度は逆に言いますと、教育関係者は美しく世の中を見ているということです。具体的な例を挙げれば、生涯学習関係の人たちはすべての人は無限に学習するものだという前提で仕事をお進めになっている。これは、変ですね。むしろ、総合化と同時に、個性的な主張があると考えていけばよろしい。ですから、この6つを全部一斉にやるんだという無限や画一でなくて、教育の対象が持つ実態や課題から目標設定するのが基本ですから、その目標達成のためのTPOでいいんじゃないですか。評価ではなく、実行です。ただ、少なくともこれらは孤立したものではなく、有機的な関連をもつものですから、総合的に考えていく姿勢だけは忘れてはいけないと思いますね。

 

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五十川 1つの具体的な事業を展開するときに、焦点化するということがあると思うんです。学校の利用なんかを見ていましても、しっかりした目標を持ってくる学校は、うちの子どもたちは少々だらしがないから、この際にきちんとした生活行動がとれるようなことをやりたいので、厳しく言ってもらって結構ですという学校がありますね。ですから、そういうことを中心にやっていって、結果的に、すばらしい夕日を見て、きれいだなというものが付随的に出てくる部分もあるだろうと思います。焦点化を図ることが大事であると思います。利用団体もそうですし、我々がみずから行う主催事業も、例えば長期の自然体験学習は何故やるかという焦点化をきちんとした上で展開していくべきでしょうね。

 

開かれた青年の家を目指す

 

司会 先程の中教審の6つの徳目も必ずしも独立しているものではなくて、例えば生命を大切にし、人権を尊重するというようなことと、もう1つある他者との共生とか異質なものへの寛容というのがやっぱりドッキングしているという感じがありますね。それは1つのことをやれば、ほかに波及していくということはあるんでしょうね。

それで、予定された時間も半分ぐらい過ぎてきましたので、青年の家の教育活動の方へ話を移していきたいと思うんですけれども、青年の家では、具体的にこうした「生きる力の提言を受けて、基本的にはどういうような方向で事業を展開していったらいいのかなというのがあるんだと思うんです。具体的内容以前の問題として、やり方として、この中教審の答申も、社会全体で考えてくださいと言っているように、青年の家だけの事業、青年の家の枠の中でやるのではなくて、青年の家の事業としても家庭だとか、学校だとか、地域とのダイナミックな広がりの中で企画して、コーディネーターして、事業を展開していくという方向を考える必要があると思うのです。青年の家だけで職員が企画してその中のスタッフだけで行うというのでは、もう限界があるのではないかなと、私はそう思っているんです。

伊藤 今まで出てきているのは、今の青少年が持っている問題点とか、教育がもたらした問題点ですね。その中の、やはり共通して出てきているのは、1つは、大人たちがどうもしっかりしていないと。だから、子どもを教育する大人たちというんですか、次世代を育てるという大人たちがどうも問題なんだと。ですから、青年の家や何かも、そこへのアプローチが1つあるべきだと思うんです。

 

 

 

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