日本財団 図書館


例えば、私どもの青年の家の隣に越谷市の大きな運動公園がありまして、日曜日なんかにそこで地区の体育祭なんかをやるんです。そうすると、青年の家を知っている方はトイレを借りに来るわけです。私もカウンターにいて、あいさつをするわけですが、声をかけると、逆にぎょっとする人がいるんです。この人、知らないのに、何で私に声をかけるんだろうかという感じですね。しばらくあいさつをするのをやめていると、「こんにちは」とか「トイレを借ります」とか言ってくれるのが10人に1人ぐらいです。

昔、家庭教育なんていうのは、今ほど余り話題にならなかったと思うんです。けれども、例えば、親が知らないところへ行ったらあいさつをするとか、おじいちゃん、おばあちゃんに対しては、急に言葉遣いが丁寧になったとかねの姿を見て、子どもは自然に、あいさつや礼儀等を教えなくても身につけていたんだと思うんです。ですから、親が教えていない部分、家庭教育の欠落の部分が多いのかなと感じます。

それからもう1つ、読書コーナーに近所の小学校の子どもたちが遊びに来るんです。と言って、自由に靴を脱いで動ける場所で見ていると、7〜8人来るんですけれども、我々の小さいときは、7〜8人いれば何か集団で遊ぶことを考えますね。ところが、今の子は、集団じゃなくて、ある子はテレビをつける、ある子は将棋盤とか囲碁の盤を出してやり出すんですね。また、ある子は持ってきたゲームをピコピコやっている。1時間ぐらい遊んでいても、会話が余りないんですね。少年期に集団で遊ぶ楽しさをもっと体験させてやることと、遊びやスポーツの中で人間関係を学ばせ、豊かな心を育んでやりたいなと感じます。

司会 今、鈴木さんが言いました何人か一緒にいても、それぞれ別々のことをやっているというようなことなんですが、これは私の知る限りでは、子どもの発達を社会性の観点から見ると、皆さん方よくご存じのことと思いますが、幼児の頃は各自がそれぞれひとり遊びなんかをしています。そのうち成長するにつれ、何人か寄ってくるけれども、最初のときは子ども同士がみんな別々のことをやっている。それで全体が何となくあるんですけれども、子ども同士というのはあまりつながりがなくて、ある子はおもちゃで遊んでいて、ある子は絵本を読んでいるというような状況になります。それから、さらに成長すると子ども同士の共通のことに取り組むということになるのだと言われています。そうすると、今の状況を見ると、昔の子どもの3つか4つのときの状況と余り変わってはいないのかなという感じもちょっとするんです。

子どもたちの人間関係がだんだん希薄になってきたとか、好きなことは友達同士でもつき合うけれども、そうでないのはなかなかつき合わないとか、基本的な社会・生活習慣ができていないとか、そういうふうに言われておるんですが、今、親が余り教えない、親自身がそういう状況になっているというようなことも話しにちょっとあったんですけれども、その原因というのはどのあたりにあるんでしょうか。そのあたりのお話をさらに進めていっていただければと思うのです。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION