3]アクセシビリティーについては比較的よく確保されているとは思います。ただ、リゾートという観点からは湖西方面の国道161号線の渋滞を何とかする必要性があるでしょう。
4]リーズナブル=経済性という面では、これも繰り返し言われていることですがカップルやファミリーが繰り返し利用する本当のリゾートにするためには、日本の宿泊施設は高すぎると言われています。
近郊リゾートとして発展させていこうと思う時、琵琶湖は景観的にも精神的にも、非常に安らぎを与えてくれ、快適性を高めてくれます。でもそれは「リゾートとして、有利な材料が一つある」ということに過ぎないと認識していただきたいと思います。
また、「京阪神・中京からの日帰り行楽地」と書きましたが、先ほどの滋賀県の観光入り込み客の目的別集計によると、一般行楽という内容が番多いと申し上げました。これは簡単に言えばレジャー施設、娯楽施設を目的に来られる方が一番多いということです。いくら「リゾートを目指す」「長期滞在を目指す」といっても、今一番多い日帰りで来られているお客様を無視するわけにはいきません。マスターゲットをねらう場合はイベントなどを含めて、「にぎやかし=ショーアップ」的な要素を求められる場合が多くあります。「長期滞在のお客様に喜んでいただける」ビジョンを持ちながら、今の観光客の大きな傾向である日帰りのお客様でも楽しんでいただけるというシステムを積極的に取り組んでいく必要性があると思います。
ところで「通過県からの脱却が必要なのか。」通過するのではなくて滋賀県を訪れてほしいというのがここまでの基本的なスタンスでしたが、逆に「通過県であってもいいではないか」という逆説的な考え方をしてみてもおもしろいかなと思ったわけです。日本最大の国土軸を貫いている県として、膨大な数の人々が行き交っているわけですから、ちょっとした仕掛けを工夫すれば、観光客を大幅に増やす可能性は十分にあると思います。通過県であることを嘆くばかりではなく、商売のネタが目の前を流れているという考え方をすればよいアイデアが浮かぶのではないかと思います。
では、21世紀に果報をいただくために何をすべきなのか…。一つ重要な視点としてここでご提案したいのは「バリアフリー」という考え方です。旅行者を取り巻く様々な障害=バリアを取り除いていく努力をしなければ「来てください」という言葉が「来ないでください」と同義語になってしまう側面もあると思います。
昨年の推計によると、日本人の障害者旅行の潜在マーケットは年間4,500億円と見積もられています。ところが実際に顕在化しているのはその20%に過ぎないわけです。「観光地、宿泊施設での受け入れ体制が不十分なので」というのが一番大きな理由でしたから、やはりそういった方に安心して来ていただける町づくりをこれから目指していく必要性があると思います。
バリアフリーは、何も障害者の方だけを対象にしている話ではありません。バリアとは多くの旅行者にっきまとっているわけです。例えば子供の視線の高さに合わせた施設づくりや、外国語によるサイン計画など、非常にたくさんの課題が残されていると思います。
最後に日本における観光の今日的課題にはどういうことがあるのかを少しご紹介をしてお話を終わりたいと思います。