このような、観光資源の新しい見方の上に立った観光とは、「連携型の観光」になっていくだろうと思います。それは例えば、農畜産業と観光業、あるいは製造業と観光業といった、今まで相入れなかった人たちが連携して知恵を出す。あるいは、独立した町や村の中で観光を考えるのではなく、隣接地や遠隔地同士が情報を共有しながら、観光地同士の連携の中で観光地の魅力を維持していく。観光地づくりのノウハウ情報もどんどん連携していくということです。
さて、私からの質問として「観光」とは皆さんの心の中でどれほどの位置を占めているのか、お話いただけたら、と思います。
○参加者(近江八幡観光ボランティアガイド協会)
近江八幡観光ボランティアガイド協会は、平成4年度から始まりましたが、一番大切なことは自分の住んでいる町を好きであること、そして自信を持って観光客の方、また地元の方に喜んでいただけるような町づくりを考えなければならない事だと思います。その視点でスタートし、今年で7年目を迎えることになりました。
ボランティアガイドが発足してから、町が美しくなったことも自慢の一つと言えるでしょう。1軒が美しくするから隣が美しくする。隣が美しくなれば、自分のところの汚さが恥ずかしくなるから、また美しくする、といういい意味での連鎖反応があったのです。またこの頃はお年寄りがぶらぶら散歩しながら缶拾いやごみ拾いをするといった点でも、大きく町が変わってきたと言えます。それも私の町の自慢です。
観光とはみんなが築くまちづくりである、と考えています。住んでよかった町、住みたくなる町。ガイドをする人だけが歴史を勉強するのではなく、町に暮らす皆さんに呼びかけた運動へと発展させていこうと考えています。
○前田
「皆でつくるまちづくり」という考えはわかりますが、そこに「観光」という要素は必要でしょうか。例えば、観光がなくても自分たちの町をよい町にすればよいではないかという言い方はもできるのではないでしょうか。
○参加者(続)
例えば家庭でも、お客さんが来るから水をまき、掃除をし、服装をきちんとし、心を新たにして迎えます。それと町の発展も同じだと思います。近江八幡の町の中もきれいにしてお客さんを迎えたい。.その気持ちから産業が発達しすべてが繁栄していく、と考えます。
○前田
なるほど。そういう意味では観光は町づくりの一つのキッカケとなるわけですね。ありがとうございました。
○参加者(山本・旅館経営)
黒壁スクエアができて新快速が長浜市まで入るようになり、一時は非常にお客さんが増えました。しかし、黒壁自体に店舗が増えてきて、黒壁だけで遊べるようになってきたために、周辺地域へのお客さんが減るという現象も起きています。長浜だけが1人走ってしまっている感じで、どうも周辺地域が置いてきぼりにされているという懸念がものすごくあります。長浜には人が来ている、ただその波及効果が周りに全然伝わってこないという感じを特に最近は持っています。