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お寺がある、レジャー施設がある、でもそれは「物」としての情報だと非常に印象に残りにくい。本当にどんな意味があるのか、大事なものか、おもしろいものか、またどういう歴史があって、どのように「今」にかかわっているのかという「事」、ストーリーがなかなか我々に伝わって来ませんでした。地域の中では「事」の集積、歴史の見直しが盛んに行われており、非常に豊かな資源の発掘がなされているのです。それを外部に出してほしいと思うのです。滋賀の観光資源を見直すというのは、これまで「物」としてだけしか伝わってこなかったものを、「事」としての観光資源として外に出していくことです。

これまでの空間志向から時間志向へ、観光資源のとらえ方が変化しているといえます。言葉を変えれば、生活者の知恵の集積、これが観光資源になるのではないかと思います。

○高崎

日本人の観光というのはまだまだ周遊型が中心です。しかし最近は、リゾートに滞在をする方も増えていて、そういった方は、当然日常とは違う環境を求めています。都会と同じものは求めていないのです。リゾートの魅力はとにかく癖になる何かだと思います。それは静かになれる心とか、落ち着けるとか、何も考えないという「何か」です。これを具体化していくことがリゾートづくりのポイントではないかと思います。滋賀県の持つリゾート性というところにも着目しながら、この後の分科会ではご議論を進めていければなと思っています。

○井戸

いろいろな問題提起をいただきました。歴史文化資源が滋賀にはたくさんあります。国宝、重文の数は全国の6.6%もあり、東京、京都、奈良に次いで第4位です。普通の田舎にすばらしい歴史文化資源がある。これが滋賀の特徴だと、私はいつも言っています。それをどうネットワーク化していくかが大変大事な問題で、ここ三、四年前からそういうネットワーク化が緒につきました。近江歴史回廊構想というのがあります。時代性とテーマ性を考えて、歴史文化資源をうまくつなぎ、10本の探訪ルートを設けました。

観光のキャッチフレーズも「だから滋賀」も結構ですが、私がもう20年ほど前から言っているのは「途中下車してみませんか」です。後の分科会でも、活発な意見の交換がありそうで、楽しみにしています。ありがとうございました。

 

 

 

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