観光地が生き残っていくために最も大切なのは、如何にお客様をリピーターに出来るのかということです。私が危倶していることの一つに明石海峡大橋があります。今はすごい人気ですね。四国の商品だけで対前年400%です。しかし、橋というのはあくまでもある地域とある地域を結ぶ機能でしかない。橋それ自体が観光資源になるのは1年、もって2年です。その橋の機能を生かして、魅力を開発して、旅行者にもう一度行きたいと思わせられるのか。それは一朝一夕でできることではありません。それは見る場所ではなくて、人々のホスピタリティーであったり、例えばその地域のことを綿々と語れる語り部さんであったり、旅人にあいさつをする中学生だったりする。観光資源と持続性の部分を誤解しているようなところが旅行業者も含めてあるのではないかと思うのです。
○参加者
私の個人的な観光のとらえ方は、やはり「観光と旅行」は、その地域の光るものが観光だと思います。それを旅行会社で商品化する中で、やはり地域としては光るべきものであるから、あまりたくさんの人に見せるのではなくて、持続可能な観光という考え方もあります。一方では人に来てもらいたい、ところが一方ではやはり次の世代へ伝えていくべきではないかと。しかるべきものを大事にするという意味で、私は、旅行会社さんは地域の資源をPRされるだけではなく、やはりきちんとした考え方を持っていただければと思います。
○高崎
大事なのは、「おらが町自慢」というふうに、その地域に住んでいる人がその地域の光を本当に認めて、誇りに思っているかどうかということです。そういうものでなかったら、来訪者は魅力を感じないでしょう。
○参加者
その地域にはいろいろな魅力があるわけで、市民がそのよさをわからなくては、という課題はある。自分の町を愛すること。それが一番の原点であると思います。
○高崎
地域を活性化する時に、とにかく人に来てほしいのだとおっしゃる自治体があります。そういう時は「本当にいいんですね」と念を押させてもらいます。というのは、人が来ると、今まで自分たちが便利だったものが便利でなくなることがあるからです。行政が地域活性化のために人に来てほしいと思っても、住民から不満が出てくるところは絶対成功しないと思います。
私どもが旅行商品をつくる時に、大事にする4つの要素があります。それは、「見る「食べる」「買う」「遊ぶ」です。この4つが全部70点以上ずつぐらいあれば、その観光地は売れると思っています。どこかが100点でどこかが0点よりも、万遍なく充実している方がいい。
○参加者
三重県は女性的だと言われましたが、これから三重県として出てくる色が、ある程度地域でまとまる、施設でまとまるという形で売っていけばいいのか、優先順位について教えてください。
○高崎
優先順位というのはお客様ありきだと思います。1つのテーマを決めるのであれば、そのコンセプトに沿って考えていく必要があります。
もう一つ、テーマでくくることも大事ですが、旅をする人に長く滞在させる工夫を考えることもとても大事です。日本人の国内旅行の平均滞在日数は2日間。ハワイなら6日間とか7日間です。そういう仕組みがつくれていません。