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特A級の資源をここに挙げてみると、三重県には2つあります。伊勢の内宮と遷宮です。特A級は全国に35個で26の都道府県に分散しているので、残る21都道府県には特A級はない。2つ以上存在しているのは北海道、青森、栃木、富山、三重、京都、奈良、広島の8都道府県だけです。

三重県のA級からC級までの資源数は、A級資源が8つ、これが全国の2.0%に当たります。同じくB級35で、1.7%、C級190の3.1%、合計235で2.7%、面積は1.5%なので、この中にこれだけのものがあるということは十分な観光資源に恵まれていると言えます。しかしこれは昔風の「見る」という観光に基づいた資源の評価であり、多様な観光客に対する平均的な評価なので、今の新しい動きに対応しているかどうかというと、必ずしもそうとは言えない。

集客力について、資源とターゲットのマッチング、ニーズとのマッチングは、お客様の属性、性質、旅行のニーズとの関係でいろいろ考えるべきですが、これは観光資源にも当てはまることで、テーマパークを好む人もいれば、伝統的な日本文化や伝統芸能に魅力を感じる人もいるわけです。三重県の観光資源で言えば、特A級の資源がいずれも伊勢神宮に関するものなので、どうしてもアジア各国の観光客にとっては今一つということがあるでしょう。そういう意味ではスペイン村ができたことは、対アジア戦略上では非常に意義深いことだと思います。

資源とニーズとマッチングについて、「見る観光からする観光へ」いわゆる物見遊山型の旅行から、どこかの観光地へ行って何か体験学習をする、そういうものに旅行者のニーズが移ってきています。それから温泉は根強い人気があります。1993年の資料ですが、環境庁が全国の温泉について集計した資料があります。三重県内は温泉地の数が31、これは全国の1.3%です。宿泊施設数は101で、これは0.7%、利用人員は154万8,000人で1.1%にしか満たない。温泉は掘削技術が進んでいるので、ほとんどの地域で新たにつくることが可能になっているとききます。温泉というのは日本人客誘致の大変有効な手段だと思います。

それから、観光資源で大事なものに郷土料理がありますが、三重県の郷土料理と言われて、私は思いつくものがありません。松坂肉とか、伊賀肉は肉の品質はもちろん素晴らしいでしょうが、郷土料理というイメージはありません。

次に、観光資源の利用技術、観光ルート設定についてですが、観光資源はたくさんあっても、利用する技術がすぐれていなければ単なる宝の持ち腐れになります。観光ルートを設定する意義は、周遊型旅行をさせるための受皿の整備等いろいろなことがあると思います。また観光ルート全体としてアピールすることは、一つ一つの観光資源をアピールするよりも有効です。

観光資源の話をいろいろしてきましたが、ではそれをどうやって集客力に結びつけるのかというところで、ホスピタリティーの問題が出てきます。集客力の高い地域というのは、ホスピタリィーが差別化の要因として非常に重要視されています。

それから、観光地のマーケティングあるいはプロモーションの段階では、旅行会社をうまく利用していただきたい。旅行会社ではイベント企画とか出版事業等、こういうものもやっているのですが、いわゆるお客様に一番近いところ、そういう方々にリーチできる情報発信機能として使っていただくことができます。

 

 

 

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