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分科会C<一重県の集客カは強いのか弱いのか?>

 

担当パネリスト 高崎邦子

 

○高崎

「三重県の集客力は強いのか弱いのか?」というテーマは非常に難しい問題です。だからここで無理に結論を出すことはせず、私の報告が皆様方の議論のきっかけになればと思っています。

まず最初に、集客力を考える時、どういうお客様に来てもらいたいか、もしくは逆にどういったお客様には来てもらえないか、つまりターゲットの問題を考えることが重要です。

三重県ではどんな人がターゲットとして考えられるかというと、一つには中高年の人たちが挙げられます。熟年層は今後10年間に大きく拡大するマーケットです。三重県は、お伊勢さんということですでになじみがあるので、観光地のイメージの構築が非常にしゃすいメリットがあります。しかし逆に旅行がこれだけ日常的に行われるようになった今日、世界の一流観光地に負けないようなホスピタリティーが求められています。海外にはない、国内ならではの魅力ということももちろん重要になってきます。

海外からの誘客という点では、中国を中心とするアジア諸国が一つの狙いであり、もう一つは、女性を狙っていく必要があります。私は、三重県には非常に女性的なイメージがあると思うのです。海があって、山があって、非常に光が多くて、赤福の甘さも相まって非常に女性的なイメージ、そのあたりをPRしていくことも1つの手法です。

三重県の集客の現状は、平成8年の入り込み総数が4,669万人、平成7年の4,555万人に比べると約2.4%増加をしています。

非常に卑近な例で恐縮ですが、日本交通公社で扱った宿泊者数を観光地別に集計しているものがあります。年間で大体3,000億円ぐらいの取り扱い、人数で言うと2,300万人ぐらいのデータなので、全部ということではありませんが。1年間の三重県の集客数は58万1,673人。全国で三重の占めている割合というのは2.5%です。

三重県内を観光地別に見た時に、非常に突出しているのは伊勢志摩で、8割を占め、2番目が長島温泉で5万人です。伊勢志摩地域の47万527人という数値は、ビジネス需要は非常にあるけれども観光に行く人はあまりいないという大阪の39万に比べてもそんなに多くありません。

長島温泉の5万人というのは、同様にビジネス需要が多いだろうと思われる12万の名古屋と比べてもそんなに特化した数字だとは思えません。宿泊者数の数字で見ると、三重県の集客というのはほとんど伊勢志摩地域だけに頼っています。その伊勢志摩地域といえども例えばほかのところと比べてみて、そんなに特化した数字ではないということがわかります。集客力というのはお客様を集める力、観光地については当然観光客を集める地域力です。観光地の場合は、もちろんのことですが、観光資源、つまり何を見に行くかということになります。それを第1番目に考えた時に、観光資源がなかったらつくろうという発想が起こります。さらにどんなにすぐれた自然景観でも、そこに行くための交通路とか、交通手段というものがきっちりと整備されていなかったら、資源価値はそれで十分だとは言えません。マーケティングがあって初めて、観光資源が潜在的に持つ集客力というのが発揮されるのです。

日本交通公社では日本全国の約9,000件の観光資源について評価をしています。特A、A、B、C、Dの5段階になっています。特A級は我が国を代表する資源で、かつ世界にも発信できるもの、A級は全国的な集客力を持つ資源、B級が地方スケールの集客力を持つ資源C級が県民及び周辺地域の住民の観光利用に供するものというふうになっています。

 

 

 

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