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○参加者

私は今まで「黒壁」に3回行ったことがあります。最初に行ったのが3年ほど前で、3回目はつい最近です。

それで、この前行った時に気づいたのは、「黒壁」の中に骨董品屋さんがあったこと。最初に行った頃はどこの町にでもある骨董品屋さんだったのですが、つい先頃は古い風情がなくなって、完全に観光客向けの商品を置いていました。最初に行った時、そういうふうに昔ながらのものを売っている店と、新しいガラスを売っている店、そのミスマッチがおもしろくて、非常に新鮮なイメージを受けたのですが、骨董品屋さんが観光客向けの品揃えをしたことで、普通の観光地になってしまったという気がして、ちょっと残念な気がしました。

○清水

長浜は今、すばらしい、すばらしいばかりではありません。本当に私たちはたくさんの悩みを抱えています。確かにたくさんの人に来ていただくことにはなりましたが、長浜の「黒壁」周辺、市街地周辺は観光客目当てで最高の商売の場だという意識がかなり高まってきているのです。

極端なことを言えば、儲かるからお店を出そうとか、これを置いたら儲かるとか、そういう視点が先行しているきらいがあるのです。本来は長浜のよさというのは、生活文化の中に新しい血を入れて、いわゆる古いものと新しいもののミスマッチがよかったと思います。今は市民の生活感がどんどん消え去っているのは事実だと思う。それは我々が一番危倶している点です。

例えば三重県で言えばあるいは、「おかげ横丁」だったら、まだまだ人の生活感があって、地域に実際に根付いていますね。観光客だけではなくて、地元の人もポッと行って全然違和感のない世界。三重県のそういった姿については逆にお尋ねしたいと思います。

○参加者

「おかげ横丁」はもともとであったのが、テーマパーク化してしまった部分があります。その大きな要素として、やはり時間帯の問題があると思います。伊勢の「おはらい町」の場合は大体3時ぐらいまでで、その後、志摩の方にお客さんが流れます。ずっとそこに滞在できるような感じの町ではありません。住民の皆さんがそこにいて過ごせるような空間とか仕掛けが必要だと思うのです。

これからの課題は、そこへどうやって、もう少し長い時間、人がいられるような町にしていくかです。今は生活感が非常に薄れた町になってしまったというのが、「おはらい町」の実態です。

○参加者

私の町の川崎町は、「おはらい町」よりも「黒壁」みたいになる可能性がもしかするとあるかなと思っています。昔の問屋街で、水運で栄えた町です。今でも立派な蔵がたくさん残っていますが、活気は全くと言っていいほどない。

 

 

 

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