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まず第1点は、自治州並びに民間部門との調整を行うということ。そして調整をしつつ、さまざまな新しい観光商品の開発あるいは観光の品質の維持を図るといったことです。

第2点としては、外国の市場において、我が国のスペインの観光をプロモーションする、その監督あるいは指揮を行うということです。

このような形で、スペイン政府あるいは行政の観光における役割がありますが、これは商務観光中小企業省が担当しています。観光部門への予算は150億ペセタにのぼっています。そしてこの観光を担当している商務観光中小企業庁に属しているさまざまな機関としては、観光研究協会、ホテルネットワーク、宿泊所ネットワークなどがあります。こういう組織ができているのは、世界でもスペインだけでしょう。そしてそのほかにもちろん観光局というものがあるし、トレスパーニァという名前で知られている観光振興部もあります。

それでは最後に、今、申し上げた各部署のそれぞれの役割について述べていきましょう。まず第1番が観光研究協会です。こちらは基本的に言って、観光に関する研究あるいは調査をすることによって、観光に関する政策立案を支援するというものです。つまり民間部門あるいは自治州が観光に関してどのような必要性があるのかということを把握するために研究して、そして市場を提供するわけなのです。つまり調査を行い、資料を作成し、さまざまな研究を行う非常に専門的な組織なのです。具体的機能としては、

1、需要、そして供給に関する調査を行い、観光から派生する経済に関しての調査を行うこと。

2、観光に関しての統計データを作成すること。

3、民間に対してさまざまな情報を提供することによって支援すること。

4、国際関係、国際機関と協力して、観光に関してのさまざまな研究あるいは調査を実施するというものです。

第2番目がホテルネットワークです。これは80以上の国営ホテル、パラドールによって形成されているネットワークです。このホテルというのは昔の古いお城とか、修道院あるいは宮殿を中央政府が修復して、手前味噌になるかもしれないが、すばらしい形で宿泊所として使用できるようにしたものです。このような形のいわゆる宿泊場のネットワークには多様な目的があります。

1、それを通じて新しい観光地を開発し、振興すること。

2、その地方のさまざまな料理をみんなに知ってもらうこと。

3、スペインのよいイメージをつくるというものであり、このような形で我が国にある観光資源をより合理的でよりよい形で利用しようとするものです。

第3番目が観光局です。この観光局は基本的に自治州あるいは民間部門、そして国際機関との協力と調整を行うところです。そしてそのほかにもさまざまな振興措置をとっており、それによって国際市場における我が国観光業の競争力を高めようとしています。そのために新規プロジェクトあるいは新規観光振興プロジェクトに対してさまざまな融資を行ったり、あるいは補助を行ったりしており、その額は50億ペセタにのぼっています。

それから、ここの中に含まれるもう一つの部署があります。観光学校と呼ばれているものです。これは国立の観光の学校であり、ここにおいてさまざまな観光学を学ぶことができ、将来的には例えば観光会社の管理者になる人を養成する学校なのです。

最後に、トレスパーニャとして知られている観光振興部について申し上げましょう。

これは基本的に国外においてスペインの観光の宣伝あるいはその支援を行うといったものです。だからトレスパーニャにとって非常に重要なのが世界の中のキーポイントとなる市場において宣伝キャンペーンを行っていくということです。そしてそれを通じて世界の観光市場の中で、そこから派生する供給と我が国が提供できる需要とを、できるだけマッチさせるということです。そのために、観光に従事する人々を連れてのツアーを組織しています。ここには在外の29の事務所があり、これらの事務所では、それぞれ観光振興の活動が行われています。最近のことですが、世界の中でも最も重要と考えられている英国のツアオペレーター協会の会長さんが、我が国の観光振興のための在外事務所が最も有能で最も効率的な業務を行っていると語ってくださいました。

以上、スペインの観光についてお話させていただきました。ありがとうございました。

 

 

 

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