日本財団 図書館


パネルディスカッション

コーディネーターパネリスト

目崎茂和(三重大学人文学部 教授)

広野敏生(まちづくりプロデュサー・株式会社創造工房ダ・ビンチ代表取締役)

清水義康(社団法人長浜親光協会統括マネージャー)

高崎邦子(JTB日本交通公社関西営業本部広報課長)

 

○目崎

今日は、三重県に如何にして外国からのお客様に来ていただけるような観光地にするのか、また、単に観光だけではなく、三重県が今進めている新しいビジターズ・インダストリーをどう創造するかということを考えていきたいと思います。

日本政府には、もっともっと海外に日本を売り込む努力をしていただきたい、という気持ちがあります。基調報告を聞いていますと、特に江戸時代から伝統のある伊勢志摩は、スペインと大変共通した部分がたくさんあると思いました。この10年、リゾート法を提案する時にはスペインと同じようなこと、つまり日本も滞在型の観光地を目指したのですが、残念ながら今のところ、日本では滞在型の観光といったものはまだ根づくまでには至っていません。

また、観光、あるいはビジターズ・インダストリーにしても、これほど大勢の日本人が外国に行く一方で、外国からのお客様は少ない。この問題は大きなテーマではあるが、それ以上に、今の経済状態の中で、単にグローバルスタンダードというだけではなくて、日本人そのものの生活あるいは社会も少子化・高齢化と変化しています。すべてが大きな意味で変化しているのです。旅行の形態にしても激変が目の前で起きつつあるということは、もうすでに皆さん自身もお気付きでしょう。

その意味では、新しい日本人の時間割というか、イベントというか、そういうものを、季節性も含めてどういう具合に創造していけばいいだろうか、ということを考える必要があります。

どういう形で観光あるいはビジターズ・インダストリーとして新しい戦略をつくっていったらいいかを21世紀に向けて伊勢志摩を核として考えていきたいと思います。

○広野

国際的に世界からお客様を呼んでくるためには、観光という商売のことだけではなくて、いろいろな切り口で、過去と未来を行き来しながら考えなければならないと思います。あるいは世界を駆けめぐるいろいろな異なる切り口の流れの中で、観光というものをクロスオーバーに考えていく時代が来たのではないでしょうか。

そこで我々は何を考えなければならないかというと、まず元気を出すこと。それにはそれぞれが自分の町の再発見、再認識をすることから始めなければなりません。自分の町、ふるさとを愛していない人が「お出でください」と言っても誰が行くでしょうか。だからまずその町の人が自らの町に誇りを持って、「さあ、お出でください」と言えるような環境をつくらないと何も始まりません。

また、官・民・学、すべてがいろいろな形で関わって、寄り合っていかなければ、魅力に富んだ元気な観光地は望めません。1つの町だけ、1つの企業だけという考え方ではなくて、1つのことをみんなで関わりながらやっていくべきだと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION