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さて、依然としてスペインに来る観光の目的の主要なものは、やはり休暇を過ごす、つまりバケーションタイプということであり、太陽とビーチを求めて来る者が中心です。それからホテルの利用は年3%の伸びを示しています。ホテルのほかにもスペインで観光用アパートと呼ばれている、通常の観光客が泊まれるような宿泊施設もあります。

観光客1人当たりの支出、どのくらいの金額をスペインに落としていくかということを見てみると、今のところ、横ばい状態であり、悪くするとやや減り気味といった状態です。

旅行手段を見てみると、どういう形で旅行を企画して、どういうふうに旅行者がスペインに来るのかという点ですが、これはパック旅行が56%を占めています。パック旅行といっても日本の旅行代理店がつくっているようなパック旅行ではなくて、ヨーロッパ型のパック旅行という意味です。それからスペインを訪れる観光客の80%は何らかの形で旅行代理店を通じてその旅の手配をしています。しかしながら個人的に一人一人が勝手に行う旅行が増加傾向にあり、特に自動車で旅行する人については、その傾向は顕著となっています。例えばイギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどの人々がそうです。

旅行の企画についての変化として、私たちが心配している点があります。ホテルの予約についてですが、最近、そこに到着する直前に予約されるという状況が増えており、このことはそのホテルの人たちにとってある程度の懸念材料となっています。

そのほかに、私どもにとって非常によい点を2点あげましょう。

まず第1点は、先ほども若干触れましたが、リピーターが非常に多いということです。我が国の場合は60%以上がリピーターです。これはつまり観光客の人がいかにスペインという観光地に対して信頼感を抱いているかということを示すものであり、ほかの主要観光国にはこのような高いリピーターの割合は見ることはできません。

第2番目としては、滞在日数です。スペインにおける平均滞在日数は14.6日。これはほかの国々に比べて非常に長いものであり、我が国の競争相手である地中海諸国での平均滞在日数は7日間です。それに比べるとスペインにおける平均滞在日数が非常に長いと言うことができるでしょう。

このような状況をふまえて、スペイン観光当局としては、今後とも観光というものは成長していくであろうと予測しています。観光客のスペインに対する信頼性の高さと新しい市場として東欧、例えばロシア、チェコ、ポランドの重要性が高まってきているということがあるからです。

そして、スペイン政府観光当局としては、今まで見てきたようなスペインにおける観光の傾向に鑑みて、その課題をなくすべく努力をしています。例えば季節変動をなくすということについては、従来型の太陽とビーチを求めての観光に偏ることのないように、新しい商品の開発、例えば文化とか、自然を強調したような商品の開発、あるいは補助施設、例えばゴルフ場といったような補助観光施設をつくっての観光の振興に努めています。それによって季節変動をなくそうとしているのです。

それと同時に、新しい市場の開拓も行っており、日本を含めてのアジア太平洋地域における新市場の開拓が非常に重要であると考えています。

 

 

 

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