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そのようなことから、世界の観光の動きの中でスペインが受け入れる観光者の数は、全世界の観光の8.2%に相当すると考えられており、また世界の中で観光に関する収益の6.4%に相当しているという数字が出ています。

これだけの規模を受け入れるスペインの宿泊施設、ホテルはどうかというと、スペインが占めるホテルの収容能力は、世界の宿泊施設収容能力の5.2%。先ほどの観光収益の数字と合わせて考えてみると、ホテルにおける占有率が高いと言えるでしょう。

このようなことからおわかりいただけるように、スペインにおいては休暇型の観光にいらっしゃる方が非常に多い。これは観光者の数から言っても、それからまた観光者の方のスペインにおける滞在日数から言っても、スペインは世界の上位に位置します。

スペインにおいて観光業は、スペインのGDPの10.6%を占めています。この10.6%という数字は、特に欧州連合の平均の7%と比べた場合に、非常に高い比率であるということがご理解いただけるでしょう。ただ、私どもスペインの観光業界の課題はそのようにGDPにおける観光の占める割合を高めるということではなくて、私たちの観光の質を高めることによってほかの国との違いを際立たせたいということです。

また、先ほど観光収入3兆9,000億ペセタにのぼると申し上げましたが、ではそれに対して観光部門の支出はどれだけかということを見てみると、1997年には6,584億ペセタでした。この2つの数字を比べてみておわかりいただけるように、観光分野における収支は大きな黒字をもたらし、非常によい状況にあると言うことができます。また、観光の年間成長率は4.2%であり、観光収入、観光者数とも増大の傾向にあります。

さて、観光によって雇用が創出されるという非常に重要な側面があります。スペインもその例外ではありません。スペインにおいて、この観光から派生する直接雇用は68万6,000人にのぼっています。そして間接雇用は約50万人にのぼっています。これはまさにスペインの就業人口の9.5%、スペインの経済活動人口の8.1%にのぼっており、観光業がいかに我が国にとって重要なものであるかということがおわかりいただけると思います。

このように重要な観光において、私どもの国がある程度成功をおさめることができた要因は2つあると思います。

まず1つは、国内旅行の面です。日本と同様に、スペインの多くの人々はスペイン国内の旅行に出掛けます。この国内観光が重要な点としてあげることができると思います。

そして2つ目としては、外国からスペインを訪れる観光客の方の満足度が非常に高いということです。外国人観光客の人々は、スペインのホスピタリティー、つまり、どのような扱いを受けたか、スペインの食事がおいしかったか、あるいは宿泊施設の質がよかったかなどの点で、非常に満足されているという結果が出てきているのです。

まさにこのような満足度の高さから、その観光者がスペインに対して非常に高い信頼を寄せているということがあらわれているのです。例えば1997年にスペインを訪れた観光客のうち、60%の人はすでに以前に少なくとも1回はスペインを訪れたことのあったリピーターでした。そしてそのうちの54.5%の人はスペインを訪問するのは4回目という人でした。

このようなことを見ると、スペインが観光国であるということは疑いのないところであると言えます。この内容をもっと細かく見てみましょう。

 

 

 

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