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基調報告「スペインにおける観光振興の努力」

 

スペイン大使館 観光参事官 アルバロ・レネド

 

まず、私の発表を始める前に、私自身について簡単にご説明させていただきたいと思います。

私は在日スペイン大使館の観光参事官として活動しています。同時に、日本、そしてアジア太平洋地域担当のスペイン観光政府局の所長でもあります。

私は過去40年間にわたって観光分野において仕事をしてまいりました。その中で、短い期間ではありましたが、カスティーヤとレオンの衆議院議員でもありました。その時だけが政治にかかわっていた時期であり、それ以外はずっと観光事業に携わってきました。私の出身地であるブルゴス地方の観光支局長として、宿泊施設ネットワークの副部長として、そしてアメリカ合衆国の西部、南部担当の観光局長としても活動しました。

アメリカのロサンゼルス、サンフランシスコ、ヒューストン、サン・アゴスティンでは、観光に関しての様々な調整の活動を実施し、スペイン政府のトレスパーニャの振興副部長も担当しました。

それらの経験を通じ、スペイン政府が今までとってきた観光に関しての政策を見ることができましたし、またそれらの政策に参加することもできました。

ご承知のとおり、現在、世界においてスペインというのは主要な観光地となっています。同時にそれはスペイン自身にとっても観光が非常に重要なものであるということを意味します。したがってスペイン政府は観光事業に対して常に多くの関心を寄せてきました。

国連の統計委員会が出している定義によると、旅行いうものは「休暇を過ごすため、余暇を過ごすため、ビジネスあるいはそのほかの目的を持って、1年に満たない期間、自分が普段住んでいるところ以外のところに滞在することである」と言われています。また同様に、ツーリストとは「その人が訪問する先において、一泊以上する人である」と考えられています。

過去数年間において、スペインの観光は世界の中でも非常に重要な比重を占めてきたと言うことができると思います。具体的に、例えば1997年について申し上げると、スペインは観光者数に関して、また観光収入の額に関して、世界の第3位を占めるに至りました。それほど世界の中でも非常に重要な観光地なのですが、では特にどういう国から訪れる人が多いかというと、ヨーロッパ、特に西ヨーロッパで、イギリス、ドイツ、そしてフランスがその主要な国です。この西ヨーロッパからの観光客は、スペインヘの観光客の94.5%に達しています。なお、1997年にスペインを訪れた人の数は6,000万人。このうち4,300万人がいわゆる観光者、ツーリストと呼ばれる人でした。この観光者数が、1位アメリカ合衆国、2位フランスに次ぐ、世界第3位の数字です。1998年、これは推定になりますが、スペインを訪れる観光者の数は4,500万人にのぼると考えられています。

次に、観光収入について申し上げると、1997年の観光収入は、3兆9,000億ペセタでした。これは米ドルに換算すると、281億4,700万ドルに相当します。この観光収入に関してもスペインは世界第3位であり、1位アメリカ合衆国、2位イタリアに次いでいます。1998年の観光収入は、4兆2,000億ペセタにのぼると推定されています。

 

 

 

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