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図表4-1では、年間を通して両者の平均月別比率の差が8.5ポイントとなっており、必ずしも大きくはないが、両者の季節性に違いがあることが示唆されている。5月、12月、2月の入場者比率の差が、須磨水族館と須磨海浜水族園との間で、他の月に比べて大きくなっている。須磨海浜水族園では、一般に水族館の混雑期と見なされている5月、10月の比率が下がり、閑散期と見なされている12月、2月の比率が上昇しているのが大きな特徴である。

また鈴木・小谷モデルを用いて計算した平均月別変動係数を比較してみると、須磨水族館が61%、須磨海浜水族園が57%となっており、必ずしも違いは大きくないが、須磨海浜水族園が須磨水族館よりも低い月別変動係数を、すなわち季節特化性が下がっていることが明らかになった。

さらに須磨水族館と須磨海浜水族園の平均月別入場者数及び増加率を表した図表4-2、図表4-3を見てみると、須磨海浜水族園の月別入場者数の増加が12月、1月、2月の閑散期ほど顕著であることが示されており、集客構造の変化が生じていることが示唆されている。つまり平均年間入場者数は、須磨水族館が742,000人、須磨海浜水族園が1,928,000人であり、須磨水族館から須磨海浜水族園への移行で、約2.6倍の増加となっている。しかし図表4-2で月毎の増加率を見てみると、水族館の混雑期とされる5月、10月にはそれぞれ2.3倍、2.3倍の増加にとどまり、年間入場者数の増加率を下回っている。一方、12月、1月、2月の閑散期には、それぞれ4.5倍、2.8倍、3.2倍の増加であり、年間入場者数の増加率を上回っている。特に須磨海浜水族園の12月、2月の伸び率が顕著であるが、先程の水族館経営者への調査によると、12月は寒さと年末の行事が多いため水族館に来る客は少ないと考えられている時期である。この時期に須磨水族館よりも大幅に入場者数を増加させたことが、須磨海浜水族園の大きな特徴と言えるだろう。

 

図表4-2 須磨水族館・須磨海浜水族園における平均月別入場者数及び増加率

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図表4-3 須磨水族館・須磨海浜水族園における平均月別入場者数の増加率

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(出典) 須磨水族館報告8、須磨海浜水族園報告1、・須磨海浜水族園提供の資料より作成。

(注1) 増加率は、図表4-2の数字である。

 

 

 

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