これら両者以外の水族館は、5月と8月に2つ需要の大きな山がある*13。このうち5月の需要が年間を通して最大の水族館を「5月型水族館」、逆に8月の需要が最大の水族館を「8月型水族館」と定義し、以降はこれら4分類を基にして議論を進めていく。1993年度の日動水協のデータを基にして、上記4分類に属する水族館を表したのが図表3-1であり、図表3-2は、各分類毎の平均月別入場者比率を表したものである。
*13 一般に5月、8月にピークがあるのが日本の水族館の基本である。この例外は唯一、国営沖縄記念公園水族館(沖縄県)で、ここでは年間を通して3月が最も比率が高く11%である。
図表3-1を見てみると、「8月特化型水族館」は、東北・上信越地方のいわゆる寒冷地に集中していることが分かる。図表3-1を見てみると、「8月型水獺官」は32園館で、これに「8月特化型水族館」の8園館を加えると40園館となり、全体の80%を占めることになる。年間を通して8月に月別入場者比率が最も高くなることが水族館の特徴であると判断することが可能であろう。
さらに各分類に属する水族館の季節特化性を、鈴木(1992)、小谷(1994)のモデルを参考にして月別変動係数を用いて指標化し*14、あわせて図表3-1に示した。月別変動係数を求める式は以下の通りである*15。
*14 鈴木(1992)、p.234。小谷(1994)、p.127より。鈴木は「季節波動と施設利用率(稼働率)との関係」を示すために月別変動係数を用いている。小谷は、「観光地の季節性」を示すために月別変動係数を用いている。
*15 月別変動係数を用いることによって、年間を通して需要の大きな山がいくつあるのか、あるいはどれほど集中度が高いのかがおおよそ理解できる。ただしどの時期に山があるのかは分からない。したがって月別変動係数からは、「5月型水族館」と「8月型水族館」の区別はつかない。