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観光産業の経営にとって、需要の季節性は重要な問題であるが、同時に戦略的に変更が困難な問題であると認識されているのである。では観光関連施設である水族館に関しては、どのような要因によって季節変動が生じているのであろうか。さらに戦略的な対応が可能なのであろうか。次節では、全国の水族館経営者への質問票調査の結果を基にして、季節変動の要因、戦略の可能性について検討していくこととする。

 

3. 水族館における季節性の分析

 

1993年度、日本動物園水族館協会(以下では日動水協と略す)所属水族館における月別入場者数をもとにして、水族館の季節性について分析してみよう*12

 

*12 日本動物園水族館協会所属水族館のうち、1993年度の有料入場者数データを報告している61水族館のうち、1993年4月から1994年3月までの12ヶ月間営業していた50水族館を対象とした。

 

3.1 季節性による水族館の分類

1993年度、日動水協所属水族館のうち、1年を通して営業していた50水族館の月別入場者比率を分析してみると、まず特徴的なのが、年間を通してほぼ1つだけ需要の大きな山が8月にある水族館と、逆に年間を通してほとんど需要の山が見られない水族館とがあることである。本稿では、前者を「8月特化型水族館」、後者を「四季型水族館」と呼ぶこととする。「8月特化型水族館」を定義するために、仮に8月の月別入場者比率が25%以上の水族館であると基準値を設定する。

 

図表3-1 季節性による水族館の4分類

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