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実際1995年度においてパッケージ・ツアーを利用している観光客とパッケージ・ツアーを利用していない観光客との間でのパッケージ・ツアー代金や渡航費などオーストラリア以外で支出された金額を除いたオーストラリアでの支出額は、前者では約132万人で一人当たりの平均支出額は1,074豪ドル(総額14億2260万豪ドル)であるのに対し、後者は約210万人で一人当たりの平均支出額は2,324豪ドル(総額48億7440万豪ドル)となる(表13、表14)。

 

表13 オーストラリアでのPackage Touristsによる支出

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表14 オーストラリアでのNon-Package Touristsによる支出

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ここから見てもわかるように、パッケージ・ツアーなどを利用してオーストラリアを訪れている観光客は他のパッケージ・ツアーを利用していない観光客にくらべるとオーストラリアでの支出は3分の1以下である。当然のことながらパッケージ・ツアーの代金にはオーストラリアでのホテルやレストラン、観光バス代などが含まれており、それらの手数料などを除く純額は、オーストラリアの経済を潤していることになるが、どうしても大手のホテルやバス会社などに偏りがちとなる。中には外国資本もあることに注意を要する。また旅行会社はあらかじめ取引のある土産屋に団体観光客をバスで連れていき、そこで買い物をさせることで旅行会社は手数料を得ている。このような観光客の行程では地元観光地や地元コミュニティーにとっては経済的メリットは極めて小さく、大手の観光産業、観光関連産業のみが経済的メリットを享受していることになる。

一方バックパッカーは宿泊先がユース・ホステルやバックパッカー・ホテル、B&Bなどを利用し、食事も地元のレストランやスーパーを利用するなど極めて地元観光地・コミュニティーと密接であり、その額も一般の観光客より平均して高いという状況から見てもバックパッカーの経済的インパクトは大きい。さらにエコツーリズムなどのアクティビティーには積極的に参加するバックパッカーの行動からも、その範囲は一般の観光客が訪れないような広範な地域に渡ることから極めて分散的に波及し、一般観光客によるような一局集中的な消費パターンとはならない。

 

 

 

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