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ここで注目したい点は「その他の支出」の額である。生活上で必要な宿泊費及びお土産などのショッピングを除いたその他の金額を見ると、バックパッカーの支出額は一般観光客の約2.5倍を示している。その額も少額ではなく、93年度は1,529豪ドル、94年度は1,685豪ドル、95年度は1,769豪ドルである。それらの内訳は統計上出されていないがLokerの著書Backpacker Phenomenon II*29において描き出されたバックパッカーの典型的な1日の支出内訳を参考にすると、その他の項目を構成しているものが何であるのか分かるであろう。

 

*29 Loker, L., Backpacker Phenomenon II: More Answers to Further Questions, Townsville, James Cook University of North Queensland, Australia, 1993, pp.25-27.

 

Lokerは1990年に約650人のバックパッカーを対象に、前日の彼らの支出額を聞き出し、それを整理・平均し、表12の様な結果を提示した。1990年度のバックパッカー数は173,765人、平均滞在日数は約22.3週間、平均合計支出額は4,550豪ドルであり、1日平均支出合計は51.50豪ドルである。その内訳でもっとも高いのは宿泊費であり、次に来るのが観光、トラベルの順であり、合計の約35%を費やしている。それはバックパッカーが宿泊費を抑えてもアクティビティーによく参加し、その支出を惜しまない彼らの性格・行動パターンによることが分かる。

 

表12 典型的バックパッカーの一日平均支出内訳

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Pearceは1988年度の調査結果に基づき*30、彼らの支出行動をさらに分析している。それによると300豪ドル以上の日帰りツアーに対して支出しているバックパッカーが15%、一般観光客が4%、600豪ドル以上の宿泊を伴うツアーでは前者が7%、後者が2%となっている。また移動の際に列車やコーチを利用する割合は前者が66%、後者が22%で、その額に500豪ドル以上を支出しているのは前者が13%、後者が1%である。レンタカーなどを利用しての移動は前者が25%、後者が13%であり、それにかかる費用に400豪ドル以上を支出したのは前者が13%、後者が2%である。またナイトライフなどを楽しむためのエンターテイメントには前者が86%、後者が44%の割合で参加している。つまりここから言えるのはバックパッカーは地元交通機関の利用を始め、ガソリンや地元ツアー、エンターテイメントなどによく参加することから、一般観光客、特に団体ツアーで来る観光客に比べると遥かに地元経済に直接的に、また交通税の支払いなど間接的にも影響を与えている。

 

*30 Loker, L., and Pearce, P. L., Young Budget Travelers; Backpackers In Australia, Annals of Tourism Research, Vol.22(4), 1995, pp.836-838.

 

 

 

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