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このように定義付けにおいてさまざまな議論を呼んでいるのであるが、やはりバックパッカーの定義において中核を担うのは「低廉な宿泊施設を好む」と「独自で柔軟な旅行計画」であると考える。前者は統計上でのキー・ポイントになっているほか、そこで宿泊することで長期に渡る旅が可能になるからである。また低廉な宿泊施設はローカルなものが大半を占めるため、地元の活性化につながるからである。後者はバックパッカーの基本的特徴を表すほか、1980年代に唱えられた「新しい観光(new tourism)」という概念におけるメルクマールが「柔軟性」*27ともなっており、その時代を象徴するバックパッカーと相通ずるものがあるからである。

 

*27 Poon, A, op. Cit., p.91. new tourismとは1960年代及び70年代の標準化されたマス・ツーリズムに取って代わる観光の1つの概念で、その趣旨は環境を念頭に置き、観光を柔軟性、独自性、及び多くの本物の観光経験によって特徴づけられているものとしている。

 

バックパッカーはこれまでお金をかけずかなり柔軟な旅程の下、放浪しているツーリストとして見なされていた。しかしバックパッカーは人との出会いを求め、自分が体験してこなかった未知の世界を渡り歩くことで自己実現を満たしていく。観光客が激増し多くの情報が錯綜する中、バックパッカーは新たな出会い・刺激を求め、人とは違う自分だけの価値観を創造しようとするツーリストである。

 

第III章 バックパッカーの経済的インパクト

 

第1節 経済的インパクト

 

この章では具体的にバックパッカーが観光全体に与える経済的インパクトについて言及する。まずオーストラリアに訪れるバックパッカー数であるが、年々増加傾向にあり1992年には166,500人、93年には178,500人、94年には217,300人、95年には227,200人となっている(表1)。

 

表1 オーストラリアのバックパッカー数

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一般観光客数におけるバックパッカー数の割合は約7%を占める(表2)。

 

表2 オーストラリアの国際観光客数

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