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2] 道路と自動車台数

シリアの道路延長は1993年現在36,377kmとなっている。このうちアスファルト舗装道路は26,299kmに達し、舗装率は72%となっている。道路整備は現在も進行しておりアレッポ〜ラタキア間の高速道路整備等が計画されている。国内主要都市間の道路は、路面状態も良く幅員の大きい高速道路であり、旅行者は高速かつ快適な道路輸送サービス(バス、ミニバス、レンタカー)を利用することができる。また、高速道路以外の幹線道路もアスファルトで舗装されており、都市間移動は概ねスムーズである。道路標識等の周辺設備については改良の必要が多い。

高速道路以外ではセンターラインが無く、高速道路でも追い越し車線がはっきりと区別されていない。また、制限速度の標識が殆どなく、空港道路や高速道路の一部を除き、夜間灯が整備されていない。各都市や遺跡等への案内標識がはっきりとわからない場合が多い。

自動車保有台数については、1993年現在で約40万台であり、1992年以降増加が著しい。ダマスカスやアレッポ等の大都市では、近年自動車台数が急増しており、交通混雑が問題になりつつある。

3] 鉄道

1993年現在の鉄道総延長は2,342kmで、その内訳は標準ゲージ、狭ゲージがそれぞれ12路線2,015km、7路線327kmである。1991年にタルトゥース〜ラタキア間104kmの標準ゲージ路線を完成させた後は、特に鉄道の建設は行われておらず、狭ゲージについては少なくとも1989年以降の設置はない。1993年の鉄道利用客数は約300万人であったが、これは前年比100万人減であり、1991年の465万人をピークに減少傾向にある。現在のところ鉄道輸送は運賃こそ長距離バスと比べて安いが、便数が少なく長距離バスの1.5〜2倍の時間を要する為、旅行客にとっての重要な移動手段となるのは難しい。

 

(2) 通信

近年、電話回線は大幅に改善され、電話の利用が一般化されてきた。1993年に586,000回線であったものが1994年には699,000回線に、翌1995年には984,000に増加した。電話局も5年で1,500カ所増え、1995年に4,450カ所となった。郵便局数も、1991年の605から1995年には650に増加した。

その他の通信手段としては電報とテレックスがある。電報は全国に126ある国営電報局が24時間営業し、アラビア語の他、英・仏・独語がそれぞれ国内外に送信可能である。国営のテレックスサービスは8:00から20:00まで利用することができる。郵便局は7:00から13:00の営業である。

 

(3) 電力

シリアは1991年時点で3,005MWの発電容量を有し、全発電量は8,800GWH、国民一人当たりでは680KWHであったが、これは隣国ヨルダンでの電力消費量1,150KWHの60%に満たない。シリアがジョルダンとは異なり石油輸出国であること、一人当たりGDPがヨルダンよりも高いこと等を考慮にいれると、シリアの電力消費量はその経済規模に比べ非常に少ない。ダマスカス市内では計画停電が行われるが、最近ではだいぶ改善されている。

シリアの電力供給については、日本はこれまで大きな役割を担ってきた。1980年代にバニアス火力発電所とスウェイダ・ガスタービン発電所が円借款によって建設されたほか、1990年代に入ってからはOECFによるジャンダール火力発電所計画の円借款が供与された。

 

 

 

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