6.2.5 航空気象レポーター1
(1) 概要
ヴァイサラ社(Vaisara Oyj)が開発したAW11航空気象レポーターは気象観測機能、気象データ処理機能、気象データ配信機能の3つをコンパクトに統合したシステムである。同システムは航空関係者に必要な気象データの観測および気象レポートの作成を自動で行い飛行中のパイロットや空港内外の利用者に対して音声やデータで配信することができる。同システムを峠など従来気象情報をうることが難しかった空域に設置することで、VFRを主体とする小型機運航の安全性向上が期待されている。同システムの特徴を以下に示す。
(a)基本機能
雲の状態、視程、大気圧、風向風速等の気象観測を行い、正確な気象レポートを作成する。気象レポートにはオペレータによるNOTAMと追加情報の録音が可能である。
作成された気象レポートは無線と電話による音声配信(多言語に対応可能)と共にASCIIフォーマットでのデータ配信が可能である。
(b)保守と整備
同システムは設置が容易であるとともに無人運用が可能である。また故障時におけるオペレータへの警報と自己診断機能を備えているため継続したモニターが不要である。主要部品は全て現場で交換が可能でありシンプルな定期点検のみで良い。
(c)日本での取り組み
日本において現在、運輸省が1998年8月より同装置を静岡県三島市と神奈川県箱根町にかかる箱根峠に設置しその効果を検証中である(朝日新聞1998/07/29朝刊より)。
(2) システム構成
航空気象レポーターのシステム構成を図6-7に示す。
1 ヴァイサラ社ホームページ(http://vaisala.co.jp/index.html)および「AW11航空気象レポーター」(ヴァイサラ株式会社)に基づく。