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10] キャリアNCO

一般の位相ロックループではVCOに相当する部分である。VCOが電圧で周波数を制御するのに対し、数値で制御するため、Numerically Controled Oscillatorと称せられる。

キャリアNCOの出力は位相情報で、その変化率(=周波数)をデジタル的に設定することが出来る。

NCOの基本的な構成を8ビットの場合を例として図2.16に示す。周波数設定レジスタ、加算器、位相積算レジスタから構成される。位相積算レジスタの"T"端子にはキャリアNCO基本クロックが接続されており、クロックが入る都度、現在の出力と周波数設定レジスタの内容を加算器で加えたものが出力されるように接続されている。

いま周波数設定レジスタの値を1、2、…128と変えて位相積算レジスタの出力が一巡するに必要なクロック数を求めると、256、128、…2となる。これを周波数に換算すると、fc/256、fc/128、…fc/2となり、fc/256Hzの分解能で、周波数設定レジスタの内容に従って、出力周波数が変化しているといえる。キャリア NCO クロック(fc)とレジスタのビット数(n)と出力の周波数の関係を一般化すると、

出力周波数範囲 fc/2n〜fc/2(Hz)

周波数分解能 fc/2n(Hz)となる。

機上用受信機の場合、キャリアNCOクロックは1.0263MHz、レジスタのビット数は21ビットであり、分解能約0.5Hzで周波数を発生させることが出来る。

 

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図2.16 キャリアNCO基本構成

 

11] ADR整数部カウンタ

キャリアNCO内の加算器のキャリーの出力を積算するカウンタ。キャリアNCOの出力が位相情報であるのに対しの、整数部カウンタは位相が2π(rad)=1波長変化する毎にカウントされることから、位相変化分の波長単位の情報を持つ。

 

 

 

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