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(1) 自動的に発信周波数を切り換える。

(2) 隣接する周波数の中で最も信号品質が良い周波数を選択する。

これらの3T特有のハンドオフ・チェック・メッセージ・バーストに関する運用構想と動作原理は4.4.4項に詳しく述べる。ここでは、高周波部の設計に必要な周波数切換時間について述べる。

(1)シンセサイザ部の詳細仕様

受信及び送信周波数はシンセサイザ部の発信周波数により決定される。3Tモードをサポートする為には、このハンドオフ・チェック・メッセージが示す周波数に従い受信周波数を切り換える必要がある。この周波数の切換時間に与えられる時間について検討した。

図4.4.4-2はハンドオフ・チェック・メッセージが存在するスロットAの詳細なタイミングチャートである。横軸は時間であるが、LBAC#11を0とするシンボル数を単位として時刻を表している。「伝搬遅延が無い場合」とは、隣接チャンネルの地上局に航空機が近い場合と考えられる。このとき、周波数切換時間は、ガード時間である50シンボル以内であればよい。

切換時間として最も厳しい条件は、現在接続しているf1のネットと隣接チャンネルのネットとの間に200NMの伝搬遅延がある場合である。この200NMに相当する遅延は、13シンボルであり、図から最小の切換時間は38シンボルである。シンボルレートは10.5kHzであるからこの時間は、3.6msである。したがって、シンセサイザ部の切換時間はこの値以下で設計する必要があると考えられる。

厳密には、地上装置と機上装置の変調クロックの差、地上装置間の同期誤差考慮する必要があるが、最新のSARPsでは、変調周波数偏差が50PPMから5PPMへ変更されており、無視できると考えられる。

現在のシンセサイザ部は、試験電波用に取得された4周波の水晶発振子を内蔵している。本設計は、周波数自動移管の制御の評価が主目的の為、この水晶発振器出力を切り換える方式をとった。将来的には、PLLを用いたオールバンドの発信器を用いる必要がある。

 

 

 

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