まさか昔のような大戦争になるとはさすがに私も思いませんけれども、とりあえず確実に起こる大混乱は、コンピュータの西暦2000年問題であります。コンピュータの中の非常に奥深いところに潜んでいたバグをとり切れなかったというか、とろうとしなかった。その上にどんどん新しいシステムを追加していったものですから、そのままで残ってしまって、これがいよいよ表に出てまいります。しかも、全体としての形は、最近のはやりの言葉でいいますと複雑系でありまして、非線形の性格をもっております。一部で起こった混乱が他に波及をする。それがまた原因になって別のものを引き起こすという形で、何が本当に原因になのか欠陥なのかよくわからないような混乱が、恐らくこれから数ヵ月の間にどんどん始まるようになり、2000年になると世界的に多発することは明らかであります。
その深刻さにおいては、いってみれば、今世紀初めの戦争とか不況にも匹敵するような規模、あるいは持続期間をもっても不思議はない。そうだとしますと、ここでもまた国家というか政府の役割は非常に重要なものになってまいります。もちろん、企業や私ども一人一人が自分で責任をもって対処しなければならないわけですけれども、できることは限られております。我々がみんな、例えば1年分の食料を備蓄しようとか、現金を1人 1,000万円ずつもとうなどと思っても、そういうことは不可能であります。そうすると、やはり国家が出てきて、補足的な備蓄をするとか、さまざまな安全についての情報や知識を提供するとか、さらに国家の最後のよりどころである力というものをいかに行使するかといったようなことを考えていかなければならない。そういう意味での混乱が間近に迫っていると予想されるわけでございます。
もう1つの混乱は、先ほど大河原理事長のお話の中にもちらっと出てまいりましたけれども、あるいは佐藤さんもいわれたのですが、新しい産業革命、あるいは情報化を推進しているのがアメリカに代表されるような最も先進的な民主主義国家でありまして、そして、そこで生まれてきた新しい技術や標準を、世界の他の部分にいわば押しつけようとしていることです。受け入れる側は、自分たちも遅れないようについていこうとすれば、ある意味でこれを取り入れざるを得ないというところもございますけれども、しからば、単純にそれをそのまま受け取るということでいいのかどうか。過去の日本の近代化の歴史を考えても、そういうことではなかったと思います。では、どのように受け取り、あるいはどのような修正を加えたらよいかということですが、これはやはりやってみなければわからないのです。ですから、それに伴う混乱というのも、今、非常に多く起こっております。それと2000年問題と一緒になりますと、さらにたちの悪い問題になるのではないか、そういったことを私は考えております。
時間が限られていますので、舌足らずですけれども、これで終わります。