陳健 駐日中華人民共和国大使 講演会
「21世紀のアジア・太平洋地域と日中関係」
平成10年10月27日 於:ホテルオークラ
-アジア・太平洋地域についての認識-
冷戦後の中国、米国、ロシア、日本の関係改善や、アセアンの活動により、この地域に恒久的な平和と安定がもたらされる枠組みが出来たと言える。経済的関係が深まることによって、相互理解が高まり、相互依存関係が深まっているが、これがこの地域の平和と繁栄のセーフティネットになっている。現在は通貨・経済危機という課題を抱えているが、この危機を乗り越えれば、21世紀には新たな未来を迎えることが出来る。
中国の発展にとってもこの地域の安定と更なる経済協力が必要である。従って、中国にとって、通貨切下げ競争は何ももたらさない。国益を守るだけでなく世界経済の安定にとっても、現在の人民元の為替レートを維持することが必要である。
多国間の対話と協力がこの地域において、ますます重要な役割を果たすようになっている。経済分野においてはAPECがあり、安全保障についても、CSCAPやARFのような多国間の対話を深めていくことに努めており、地域全体の安全保障への理解が高まってきている。平和的交渉のみが平和と安定を保つ唯一の方法であることが多くの国に認識されつつある。
例えば、朝鮮半島情勢について、4ヵ国対話や米国・北朝鮮の二国間対話により全体としては緊張緩和に向かっていると認識しているが、長期的な取り組みとその努力を欠いてはならない。中国としても平和と安定を維持することを基本原理としている。
南シナ海については、1]平和的手段による解決策を求める、2]最終的な解決策が出てくるまでは問題を棚上げする、3]この地域の平和と安定を損なうものとはしてはならない、という三つの原則を中国は守るつもりであり、関係国も同様に行動することを期待している。
一言で言えば、この地域は政治的安定性と経済成長を高めてきている。アジア経済危機、南アジアの核拡散、テポドン発射による潜在的軍拡競争の惧れという問題もあるが、それよりも各国は共通利益がどこにあるかを探し、協力によって得られる利益を認識してきており、これとアジアのポテンシャルを考えれば、21世紀におけるアジアの安定と繁栄は期待できる。