政治・軍事協議を実施した最初の欧州の国は英国(90年11月)であり、ドイツ、フランス(ともに94年6月)が続いた。かかる協議は地域安全保障情勢のように、双方が関心のある分野を扱っている。日本は、このほか、英国、フランス、ドイツとの間に行動計画を伴う協議協力枠組みを持っている。(3)行動計画は、3国ともほぼ同様の項目をあげており、国際安全保障、地域協力、地域安全保障組織などをカバーている。国際安全保障面では、不拡散、軍縮、国連関係の問題を扱っている。
1997年6月には、日本と北欧5カ国との首脳会議がベルゲンで開催され、首脳会議の定期化が合意された。
欧州連合と日本の間では、1991年7月の「ハーグ宣言」に基づいて政治、安全保障面も含む、広範な分野での協議、協力が進められている。かかる協力の最初の成果として、国連軍備登録制度の共同提案がある。1998年1月には、7回目の日-EU首脳会議が東京で開催され、協議が実施された。
OSCE(欧州安全保障協力機構、その前身は欧州安全保障協力会議CSCE)については、日本は1992年のヘルシンキ首脳会議での決定(4)に基づき、特別参加資格を持っている。日本はOSCEの政策決定には参画できないが、発言権は有しており、ほかの非加盟参加国と比べてより広範な参加資格を持っている。OSCEの事務総長(ヘインク大使、アラゴナ大使)も日本を公式訪問した。OSCEは、日本が直接参加できる欧州の唯一の組織であり、これによって日本は、欧州の安全保障情勢をバランス良く把握できる。日本はOSCEの隣接領域に位置するため、欧州の安全保障に直接的な利害関係を持っている。一例として、防衛研究所が刊行している『東アジア戦略概観 1996-1997』によれば、欧州の通常戦力を削減するCFE条約で制限された兵器が同条約の適用範囲の外であるウラル以東へ移転され、極東ロシア軍の近代化がなされた(5)。
日本はOSCE枠の信頼醸成措置の適用地域やロシアの提案している海軍の信頼醸成措置に関心を有している。
オープンスカイズ条約については、条約発効後に原加盟国の合意により第三国の加入が認められるので、日本は参加の可能性をめぐる検討を実施している。
NATOと日本の間には、専門家も含めたセミナー隔年開催)、高級事務レベル協議が実施され、このほか、議員や政府関係者がNATO国際事務局を適宜訪問し、意見交換を実施している。日本は、NATO-ロシア間の常設合同理事会の議題が第三国にも影響するものを扱う可能性に鑑み、高級事務レベル協議を毎年開催することを希望した。1997年10月には、ソラナNATO事務総長が日本を公式訪問した。
西欧同盟(WEU)と日本の間には制度的な対話枠組みは設定されていない。日本国際問題研究所とWEUの安全保障研究所が98年3月にセミナー共催した。