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このほか、和平履行を担当している上級代表事務所へ延べ4名の要員を派遣し、事務所の運営費に96-98年の間、730万ドルを支援した。国際警察タスクフォースに対しては、96、97年に計225万ドルを、地雷除去に4百万ドルを貢献した。ボスニア・ミッションのほかに、1992年以来、日本はCSCE/OSCEのさまざまなミッションに延べ7名の要員を派遣し、ミッションのために衛星通信機器の購入を支援した。

コソヴォ問題については、新ユーゴ制裁に参加し、コソヴォ情勢統一フラッシュ・アピールに対し231万ドルを供与(98年8月)、同年10月には、国連統一アピールに対する約730万ドルの支援供与等を発表した。

OSCEの枠内では、ユーゴ問題に対する貢献のほかに、セミナー専門家を派遣したり、アルバニアの選挙に12万7千ドルを供与した。欧州評議会に対しては、95年以来、専門家の派遣や議員交流を実施し、ウクライナの民主化プログラムや他のセミナーどに5千万を貢献した。

NIS諸国や中・東欧諸国については、日本は二国間で、あるいは欧州復興開発銀行などの国際機関を通じて貢献してきた。1996年のデータによれば、日本はコミットメント・ベースで57億ドルを貢献し、技術協力、食料援助などを含むグラント(20億ドル)およびクレジット(37億ドル)がその内訳である。バルト諸国には別途、輸銀ローン(2億ドル)および技術協力を実施している。

ロシアについては、98年10月段階で60億ドルをコミットしており、人道支援、技術協力、核兵器廃棄協力などが含まれている。同年11月の日露首脳会談の折りには、ロシアに対する知的・技術協力の拡大(約1億ドルの拠出)、医療関連物資の緊急供与(約1千万ドル)も発表された。

 

日欧間の協力・協議枠組

欧州の大変動の初期において、日本はソ連、東欧諸国の計画経済から市場経済への転換、およびユーゴ問題への貢献を要請された。日本は世界第二位の経済大国であり、また、G7/8,OECD,G24などのメンバーしてである。かかる過程への日本の関与は、欧州諸国および関連国際組織との協力・協議関係の発展に途を開いた。日本は、貢献をするためには政治過程に組み込まれる必要があり、単に無記名小切手を渡すことは不可能だったからである。

欧州諸国および諸組織との政治関係を発展させた他の理由としては、世界政治における欧州の増大する重要性という日本側の評価があげられよう。冷戦期の日本の対外政策の優先事項は米国であり、アジアの近隣諸国との関係であった。この時期、日本は米国の同盟国として西側陣営に属していたが、欧州諸国との間で政治安全保障をめぐる対話はほとんどなかった。欧州の激変の直後に、日本政府は欧州の主要国および関連国際組織との間にささまざまな対話枠組みを設定することを決定した。

 

 

 

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