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通貨市場での混乱は誰も望んでいない。EU当局も、ユーロが国際通貨として広く受け入れられることは望んでいても、米ドルからの急激で膨大な資金シフトによる世界経済の混乱は望んでいない。また、米ドルの基軸通貨としての地位に対するいかなる挑戦も嫌っている米国当局も、欧州通貨の価値暴落(あるいは欧州通貨間の価値激変によるEmuの崩壊)による混乱は避けたい所である。

 

通貨危機を防ぎ、金融サービス産業での効率化を推進するためには、競争によって情報開示と透明性を高めることが欠かせない。但し、競争が激化すると、経営困難に陥ったり、高い利益を求めて危険な資産運用に走る金融機関が増大しかねない。そこで世界レベルでの「最後の貸し手」を設立することも必要かもしれないが、その場合、モラル・ハザードを増大させないように配慮しなければならない。

競争原理を導入して法を整備し、金融取引についての透明性・情報開示を高めることは、国際金融システムをより安定なものにするためには不可欠である。その一方で、国際的な資金移動、とりわけ短期の資金移動に対して何らかの規制を導入することは、ユーロ導入後の国際金融市場の安定のためにも一考に値すると言えよう。

 

ユーロが安定した通貨として広く受け入れられ、欧州経済も安定的に成長することは、世界経済にとって望ましい。特に米国以外の国にとっては、米国の経済的・政治的「力」のカウンターバランスとしての欧州の存在は大きい。Emuの成功と欧州の繁栄に期待するところである。

 

 

 

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