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しかしながら、こうした議論も次第に時代遅れとなっていきます。最近、EU加盟諸国の大多数で社会民主主義政権が誕生しました。これは偶然ではく、欧州政治が、もはや外交関係のある種の応用形態ではなくなり、欧州統合自体の内部的な力学によって動かされる組織的過程となったために起こったことです。そしてそれが事実なら、複雑な制度上の手続きの重要性が激減します。これは、発展に何らかの方向性を与え、完全に統合された汎欧州システムへと導く政治的過程となるでしょう。

 

欧州連合は、その制度的能力における「臨界質量」に達しつつあります。多少長期的な視点からは、地理的な範囲においても「臨界質量」に達しつつあるといえるでしょう。また、「欧州政治」というべきものも出現しました。これら三つの要素を総合すれば、EUが始まりの終わりにあることは明らかです。EUの真の歴史は、始まったばかりなのです。

 

 

 

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