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シート74

 

公務員と国民との意識のズレ-職場の慣行-

 

日本の新聞に掲載された、ある公務組織における慣行に関する投書から、倫理と職場慣行について考えてみましょう。

 

1 気兼ねして沈黙(新聞投書)

 

役所に就職したばかりのころ、窓口勤務で外に出ることなど一度もなかったのに「旅費」が支給されるのを不思議に思い、上司に理由をたずねましたが、「いろいろあるんだよ」と言われるだけでした。「カラ出張ではないですか。私は出張していないから返します」と言ったところ、「そんなことをするとみんなが迷惑する。黙って受け取っておいてくれ」と言われ、結局そのままになってしまいました。

その後、全員に支給されていることを知り、個人的に抵抗しても仕方ないと諦めてしまい、最近では支給されるとありがたく思える次第です。金額的には月2千円程度ですから、なくても困らないはずですが、あてにしている人もいるとわかってくると、ますます下手に問題提起などして、恨まれたら、居ずらくなるという思いが強くなり、良心をごまかしています。たとえ2千円にしろ、何千人もの職員に毎月支給されているとすれば、月に1千万円、年間で1億円を超す税金が不正に支給されていることになります。誰もが不正と知っていて、おかしいと言いださないのは不思議な話ですが、結局私にも勇気がありません。

 

2 職場慣行について

 

あなたの職場には、上記の例のような慣行はありませんか。悪い慣行も、最初は何か変だと感じていたとしても、長年継続しているうちに抵抗感が薄れてくることが多いものです。極端な場合、おかしいという自覚すらなくなってしまいます。しかし、いくら長年にわたって続けられた職場慣行であっても、法令に反する慣行が正当化されるはずもありません。公務員の勤務条件については、勤務条件法定主義の原則により、法令によることとなっており、お手盛りで給与や勤務時間などを決めることは許されません。

また、ある予算費目が不足している場合に、法令により認められていない形で他の費目の予算を流用する行為は、税は国民を代表する議会のコントロールの下に使用されなければならないという財政民主主義の原則を、一方的に無視した違法な行為となります。

誰でも自分が所属する組織に受け入れられたいという欲求を持っており、組織の慣行に逆らうことは容易ではありません。したがって、管理者として最も重要なことは、そうした悪しき慣行が定着しないように注意することです。もし、そうした職場ぐるみの長年の慣行が既に存在する場合には、組織的に取り組む必要があります。その際には、次のようなタイプの職員への対応に特に留意する必要があります。

1]組織が倫理を遵守しろというのは口先だけで、非倫理的な行為を行った方が自分のため、若しくは、組織のためになると思っている職員

 

 

 

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