シート48
能力開発の必要性と手段
1 能力開発の必要性
組織は、なぜ職員の能力開発に努めるのでしょうか。
第一に、組織はその目的を達成するために、自らが有する人、物、金、情報といった資源を有効に活用しなければなりません。そのうち人的資源については、外部から調達することも可能ですが、調達コストを要することもあり、組織内の人材の能力を向上させることが必要になります。
第二に、各国の公務を見ると、長期雇用を基本とし、職員の中から管理者を登用する人事運用を行っている国が多いようです。新規雇用は政治的任命や若年層に限られ、構成員の多数は内部職員によって占められるので、これらの内部職員の能力向上が組織の能力を決めることになります。
第三に、近年、公務を取り巻く環境は大きく変化しています。このような変化に組織が適切に対応できるようにするため、職員には多様な能力が要求されます。そして、必要とされる能力を付与するために、職員の能力育成に努めなければなりません。
2 能力開発の手段
以上のように、組織は職員の能力開発を図っていく必要がありますが、能力開発の主体はあくまでも職員本人です。職員自身に自分の能力を開発しようという意欲がなければ、いくら組織が職員の能力開発に努めても、効果は低いものとならざるを得ません。
しかし、すべての職員が能力開発に努めようとしているわけではありません。効果的な方法がわからずに悩んでいる職員もいますし、必要性に気付いていない職員もいます。このため、職員本人の能力開発を奨励し、支援する方策が必要になってきます。
その一つが職場の上司が部下に対して、その職務を通じて行う能力開発で、OJTといわれるものです。
もう一つが職務を離れて行う能力開発で、これには研修所などで行う集合研修や大学院などに派遣する派遣研修といったOff-JTや、職員が勤務時間外に自らの意思で行う自己啓発に対する援助といったものがあります。
さらに、職員を計画的に様々な職場へと配置転換するジョブ・ローテーションや上位ポストへの昇任といった人事施策も、その過程で職員が新しい仕事を経験し、自己啓発に迫られることから、人材育成の意味も有していると言えます。