ましてや具体的な実施計画を決定し、指示したことにより、課員は各係の自主性や創意を無視され、自分たちの能力を否定されたと感じたであろう。課員の自由な発想を大切にすると言っていた課長が、詳細まで決めて、押し付けたことにより、課員は今後、課長の言動を信用しなくなる可能性もあろう。
こうした状況にもかかわらず、課長が民主的にことを運んだと考えているとすれば、課内によそよそしい雰囲気が漂うのも無理からぬことである。状況から判断して、課長案を提示することは、やむを得なかったとしても、少なくとも細部計画については、担当係に工夫させるような配慮が必要であった。
(4)課内を融和させるため親睦会の開催などに努めただけで、本質的な解決を怠ったこと
親睦会などのインフォーマルなコミュニケーションは、お互いが親密になるとか、人間関係の改善には役に立つが、本質的な問題解決や創造性の向上には必ずしも効果があるものではない。
親睦会は、どちらかといえば、難しい問題はさておき、相互の関係の強化を図ろうとするもので、いわば表面的人間関係の円滑化である。もちろん人間関係が円滑であれば、本質的な問題を追究しやすくなるという利点はある。
真の問題解決や創造には、問題の本質を真剣に議論することが不可欠であり、そのためには厳しい意見対立や、ときには感情的対立も生じようもしかし、そうした対立を乗り越えない限り、真の活性化はありえない。本音レベルの議論があってこそ真のチームワーク、相互信頼関係、人間関係が醸成されると言える。
2 創造性を高めるための方策
生産性を向上させたり、仕事を改善、改良するような創造性は、次のような条件が整ったときに発揮されることが多い。
・仕事に興味を持っている。
・本人にとってチャレンジとなるような高度な目標を有している。
・裁量の余地が大きく、自主性が発揮できる。
・権限と責任が大きい。
・減点主義的評価をしない。
そこで、部下の創造性を高めるためには、次のようなことに気を配ることが大切です。
・改善の意義を十分に自覚させ、自分の問題であることを認識させる。
・権限を委譲するなど、部下が考え、工夫できる余地を大きくする。
・成果をチェックするというのではなく、できるだけ良いところを活用するという評価の姿勢をもつ。
・できる限り部下を意思決定に参加させる。