(1)管理者自身の状況
管理者が出張や研修などで職場を留守にしがちな場合は、指示型は困難で、基本的には放任型にせざるを得ません。自分が異動し、初めての職場に着任してきたような場合にも、すぐに指示型のリーダーシップをとることは困難です。指示型を取ったとしても、仕事の流れや過去の経緯を踏まえない誤ったリーダーシップになりかねません。仕事の全容を把握できるまでは参加型や放任型のリーダーシップを取ることが適当です。また、管理者が優先度の高い重要業務に忙殺されている場合には、その他の業務については放任型を取らざるを得ないことがあります。
(2)部下の状況
採用になったばかりの仕事になれない部下や、仕事に熱意の見られない部下に、放任型のリーダーシップを発揮しても、部下が戸惑って自信を喪失したり、委ねられたことをよいことに仕事の手を抜くことにもなりかねません。
一方、仕事に熟達したベテランの部下にあれこれと一方的に指示すると、自分は信用されていないと部下が考えたり、管理者への反発を招き、仕事への熱意を次第に失っていくことになりかねません。
一般的には、部下の仕事についての知識や能力、意欲が低い場合には指示型で、それらが高まるにつれて参加型とし、さらに高まって確実に仕事を処理できる可能性が強い場合には放任型で行えばよいと言われています。
(3)仕事の状況
定型的な仕事については放任型で、新しい仕事を企画して実行するといった非定型的な仕事については参加型で行うことが適切です。たとえば、浄書や複写といった単純業務は放任型で、組織トップ層への説明資料の作成といった重要業務については参加型や指示型で行うことになります。また、緊急に処理しなければならない仕事については参加型で行っていては間に合わないので、指示型で行うことになります。