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シー卜33

 

上司の補佐

 

1 組織の方針をよく理解すること

 

組織の方針や目標は、命令系統を通じて上司から伝えられます。方針を部下に伝え、自ら責任を持って、部下とともに目標を達成するのが監督者の仕事です。そのためには監督者は、組織の方針が公益の実現にどうつながっているのかを理解して、方針の精神や意味を十分自覚しておくことが必要です。

たとえば、上司からの指示が自分の意見と食い違うような場合には、自らの意見を上司に対して率直に述べ、組織の方針と上司の指示の関係を理解することが大切です。上司の指示に疑問を持っているのに、単に上司の指示だからとそのまま部下に命令するだけでは、組織として一体となった業務遂行は困難です。

なお、近年、その専門性を活かして、単独で責任をもって仕事を行う専門職の職員が増えてきています。専門職の場合、自らの職務と組織の目標とのつながりが見えにくいことがありますが、それ故に、ラインに属する監督者以上に組織の方針を理解して、業務を遂行することが求められます。

 

2 上司に対して、適時、適切に仕事の報告・相談をすること

 

所管業務のポイントを上司が知らないというのは問題であり、部下である監督者の責任です。仕事の進捗状況は適時、簡潔に上司に報告し、また、新しい計画を立てる必要が生じたり、障害が生じた場合には、上司に相談してその指示を受けるようにしなければなりません。上司には、常に自分の仕事の状況を知らせ、上司が適切に判断できるようにしておくことが大切です。

 

3 上司に対して意見や提言を述べること

 

上司の主要な仕事は「判断する」ことです。上司の適切な判断に基づく指示があって、はじめて業務は効果的・効率的に遂行されます。上司は部下の情報などに基づき判断するわけですが、上司自らの考えだけに基づく判断よりは、より現場に近く、個々の業務の状況をつかんでいる監督者である部下の意見や提言も踏まえて判断した方が、より適切な判断を下すことができます。したがって、事実としての情報のみならず、建設的な意見や提言を積極的に述べることが大切です。

 

4 仕事の内容や現況について、いつでも上司の質問に答えられること

 

上司に呼ばれ、仕事について質問されたときに、いちいち担当の部下を呼んで聞かなければならないようでは、上司は監督者に十分な信頼をおくことができません。担当する仕事の概要と進捗状況は、常に把握し、いつでも説明ができるようにしておかなければなりません。

 

5 仕事の結果について、責任を負うこと

 

部下に命じてやらせた仕事であっても、実施結果に関する責任は監督者にあります。仕事に誤りがあった場合に、部下に責任をなすりつけて、言い訳をするような監督者であってはなりません。

仕事の結果については、部下ではなく、監督者が上司に対して責任を負わなければならないのです。

 

6 上司の職務を代行できる能力を養っておくこと

 

よい組織とは、何らかの事情により、一部の者がいなくなっても円滑に機能する組織を言います。病気などにより上司が突然いなくなっても、仕事が滞ったり、混乱したりしないように、そして、いつでも上司が安心して仕事を任せられるよう、日常から上司の職務を代行できる能力を養っておく必要があります。日頃から上司の仕事の進め方を見習い、状況判断力や決断力を高めるように自己研鑽することが大切です。

 

 

 

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