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公務を取り巻く状況の変化
近年、公務を取り巻く状況は大きく変化しています。主な経済・社会情勢の変化は、公務遂行に対して、どのような影響をもたらしているでしょうか。
1 高学歴化
公務は一般的に高い教育を受けた者が多く勤務しています。高等教育の普及度が低い社会では、高い学歴を有するが故にその人が信頼されることがあり、そのため公務に対しても信頼を寄せられることがあります。しかし、社会全体の高学歴化が進むと、たとえ公務が依然として高学歴組織であっても、政府に対するこうした無条件の信頼感は喪失していきます。
2 経済の成熟化
高度経済成長が主要目標である時代には、結果として経済成長につながる政府の活動であれば、たとえそれが若干の腐敗を伴っても、国民の目はそれほど厳しくなかったといえます。しかし、経済が成熟化し、環境問題などが行政の主要目標の一つとなるなど政府に対する国民の期待が変化すると、公務員に対して国民が求める倫理観も厳しくなる傾向があります。
3 国民の権利意識
国民の権利意識の進展に伴い、国民が行政の客体であった時代から、国民も行政に関与・参加する時代へと移行しつつあります。たとえば、住民運動などの地域活動が盛んになり、直接政府に対し、関心、要望を寄せるようになります。
4 国際化
国際化の進展により、行政のあり方や仕事の進め方など、従来は国内問題であったものが、国際的な問題になることがあります。公務における諸々の基準、手続きが国際的な慣行や相手国の取扱いと比較され、その合理性・妥当性が論じられるケースが増えています。
5 情報化
情報化は、国民が有する情報を増やすだけでなく、国民の知る権利に対する意識の進展ももたらします。国民は自らが有する情報を基に公務活動の妥当性をチェックしたり、行政情報の開示を請求したり、政府の決定に至る経緯について説明を求めるようになります。
こうした国民の要求に応え、また、国民の関心・反応を直接聴取し、より積極的に行政を展開することがこれからの公務に期待されています。