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次に、売上税のサービス課税は州際サービス取引への利用税の適用・運用と関連している。サービス課税を行う場合、州政府は州内企業による州外へのサービス提供には課税せず、州外からのサービス購入に課税しようとする。そうしたイコール・フッティングが保証されるのでなければ、州内のサービス提供者は州外での事業、州外企業との競争において不利となるからである。

有形資産の場合、多くの州では利用税を課税し、州内外での税負担の均衡化を図っている。しかし、サービスは有形資産と異なり物品の移動が明確でなく、どこで利用、消費、享受されたかを特定することが困難であるため、課税サービスの購入に対する利用税の適用は容易ではない。会計監査業務やコンサルティング、法律相談などのようにサービスが複数の州で提供・消費される場合、いずれの州が課税権を有するのか、そのようにして課税ベースの州間配分を行うのかは容易に決定できないからである。また、衛星放送やオンライン・コンピューター・サービスのような家庭向けサービスも、州という行政区域をあまり意味のないものとしている。

こうした問題に対処するために現在、州政府は主として2種類のアプローチが考えられる。第一に、ハワイ、ニューメキシコの2州は州内で提供され、州外で利用されるサービスを非課税としている。ただし、州内での利用を目的に州外で購入されたサービスに対して、両州とも原則として売上税を課税していない。

次に、第二のアプローチとして、実施には至らなかったがフロリダ州とマサチューセッツ州が試みた本国向けのサービスへの利用税課税という手法がある。フロリダ州は1987年に広範なサービス課税の導入を決定したが、広告業を中心としたサービス業界からの激しい抵抗にあい、結局、既存課税ベースのまま税率の引上げを行った。また、マサチューセッツ州も1991年に一旦、決定されていた対企業サービスへの包括課税化を産業界からの反発により断念している。これらの州では利用の場所を特定化できない取引の場合、所得税課税の際に用いる標準的な3要素方式(資産、賃金、売上げ)による州間配分を行おうとしたと販売者が州内で事業を遂行する程度に応じてサービスは課税対象になる。

サービス課税が州内での事業コストにどのような影響を及ぼすのかも重要な問題である。消費者に課税される従来の売上税は企業の競争力に影響を及ぼすさない。しかし、対企業サービスを課税対象に含めることでその州での事業活動が他州でのそれよりより多くのコストをかけ、ひいては州の競争力に影響を及ぼすことが考えられる。Fox[1986]は州境地域での州売上税率の格差が雇用に著しい影響が及ぶという実証研究の結果を示している。注8また、Bartik[1987]では、機械・設備に対する売上税の税率格差のみが企業の立地決定に影響を与えるという分析結果が出ている。注9

州際取引に課税することの困難さはサービス課税の対象を極めて狭くしているし、多くの州では企業課税の恐れのないサービスにまで課税を行っていない。今後、課税化が検討されるべきサービスとして、ヘアケア・サロンやヘルス・クラブなどの個人サービス、公益事業、娯楽施設等入場料、修理・取付サービスなどがあげられる。これらのサービスへの課税は相対的に少ない行政上の問題しかないので漸次進められることになろう。

 

 

 

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