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資料11

 

超過課税等に関する依命通達・行政実例等

 

● 市町村民税について

(昭和25年9月11日 地財委税第14号 地方財政委員会事務局長通達)

市町村民税の賦課について種々の疑義を生じている向もあるように見受けられるから左記事項に留意の上これが取扱いに遺憾なきよう管下市町村に対し、示達の上、指導の万全を期されたい。

一 税率に関し、左に掲げる課税方法は、第一号及び第二号については違法であり第三号及び第四号については不適当であること。

(一)所得税額を所得割の課税標準とする場合においてその税率を累進税率とすること

(二)所得割の課税標準を事業所得、給与所得等所得の種類又は額により区分して、異なった税率を適用すること

(三)均等割に関し、法第三百十二条の規定に基いて税率を軽減する場合の外不均一の課税をすること

(四)法人の均等割を標準税率以上で課税しながら個人の均等割を標準税率以下で課税すること。又は、法人の均等割を標準税率以下で課税しながら個人の均等割を標準税率以上で課税すること。

 

● 標準税率以下で町民税を課することの可否

(昭和26年8月2日 地財委税第1257号 地財委市町村税課長回答)

問 町税中町民税の税率を標準税率以下に定め、他は標準税率を採用(反対の場合も含む)することは不適当であると解するがどうか。

答 標準税率は法第一条第五号に規定するように財政上の特別の必要があればこれによることを要しない税率である。すなわち、市町村は、財源に余裕があれば標準税率を下る税率を定めることもできるし、また財源に不足すれば標準税率をこえる税率を定めることもできるわけである。したがって設問の場合においてもそれが財政上の特別の必要に基づくものであれば適法である。なお、一又は二以上の税目において標準税率を下る税率を定め、他の税目において標準税率を下る税率を定め、他の税目において標準税率をこえる税率を定めるごときは、前述の趣旨から違法と解すべきである。

 

● 全国都道府県徴収主任者懇談会席上における懸案事項について(低額所得者に対する不均一課税及び減免)

(昭和26年8月31日 地財委税第1384号 地方財政委員会事務局府県税課長回答)

去る8月17日開催の標記会合席上における質疑事項中、研究を約したものについて左記の通り回答するから取扱上遺憾なきを期せられたい。

1 低額所得者に対し、短に低額所得であることのみを要件として、一律且つ無条件に事業税の不均一課税をし、あるいは減免措置を講ずることは地方税法第6条及び第762条の規定に背反し、適当でない。

 

● 地方税法及び同法施行に関する取扱いについての依命通達

(昭和29年5月13日 自乙市発第22号 自治庁次長通達)

三 税率

(1)税率については一定税率を法定するもの、標準税率とともに最高限度をも法定するもの及び標準税率を定めるに止めるものの三者に区分されているが、標準税率(制限税率をあわせて定めるものを含む。)を規定する税目について税率を定める場合においては、住民負担の実情にかんがみ、とくに施設を充実する場合等を除いて、可及的に標準税率によることが望ましいものであること。

 

● 固定資産税の税率について

(昭和30年3月7日 自丙市発第22号 自治庁税務部長回答)

問 固定資産税の標準税率は、法三百五十条第一項の規定により百分の一・四とされているが、この場合税率が標準税率であるからとの理由で土地、家屋、および償却資産別にそれぞれ異なった税率を条例により採用することは、法に特別の規定がある場合を除き、固定資産税について税率を異にすることになり、法の予期しない違法の措置であるばかりでなく、同税の課税標準が時価である限り、客体別税率を採用しうるものと解することは、制度上負担の不均衡をもたらすことを承認することとなり、この面からも税法上違法であるものと考えられるが当面する問題もあるので至急なにぶんのご回示をわずらわしたい。

答 貴都の実情において地方税法第六条第二項の規定に該当するものということはできないものであり、同条同項の規定に該当するものを除き一般的に固定資産の種類別に固定資産税の税率を不均一とすることはできないものと解する。

 

● 地方税の超過課税の解消について

(昭和44年2月22日 自治市第16号 自治省税務局長通達)

市町村における地方税の超過課税の適正化については、かねがね格別のご指導をわずらわしているところであり、超過課税を行う市町村の数も漸次減少してきているが、現在なおかなりの数の市町村が超過課税を行っている。

地方税法において標準税率を定めている趣旨は、国、地方を通ずる国民の税負担の適正化および地方団体間における住民負担の均衡化をはかろうとするものであり、地方団体は財政上の特別の必要があると認める場合のほかはできるだけ標準税率によって課税することが望ましい。この点については依命通達第一章第一節においてもその趣旨を明らかにしているところである。

このような事情にかんがみ、今後一層財政運営の合理化を図り、できるだけ超過課税の解消ないし軽減に努めるよう貴管下市町村を指導されるようお願いする。

 

● 地方税の超過課税の解消についての内かん

(昭和44年2月25日 自治省市町村税課長内かん)

先般「地方税の超過課税の解消について」(昭和44年2月22日 自治市第16号)によって、地方税の超過課税をしている市町村に対する指導について通知されたところでありますが、貴管下市町村のうちにはかなりの市町村が超過課税を行っておりますので、次の諸点に留意して十分指導されるようお願いいたします。

(1)市町村は、住民税の負担の軽減の要請が強い折から、一般財源の増加状況を勘案して個人の市町村民税を中心に超過課税の解消または軽減に努めること。

(2)超過課税を行っている市町村の中には、超過課税が固定化されている向きも見受けられるが、このようなことは、本制度が設けられている趣旨からも適当でないと考えられるので、特別な財政需要がある場合を除き、その解消に努めること。

(3)市町村は、超過課税の解消に当たっては、将来にわたる財源の推移等を考慮して、計画的に行なうことが望ましいこと。

なお、以上の趣旨に沿って超過課税の解消または軽減を行った市町村に対しては、特別交付税において相当程度措置するよう財政局と協議済みでありますので申し添えます。

 

● 固定資産税における不均一な課税について

(昭和51年5月26日 自治固第48号 自治省税務局長通達)

最近固定資産税の課税に当たって一般的に超過税率を採用するとともに他方において一定の固定資産について従前の税率に据え置く等の不均一な課税方法を検討している向きがあるようであるが、このことについては左記のとおり考えるので、管下市町村に対してこの旨示達の上、十分に指導されたい。

1 固定資産税は、いうまでもなく、固定資産の評価に着目し、それを所有することに担税力を見出し、その価値に応じて税負担求める物税である。現行制度が、固定資産の所有者、種類、用途課税標準額のいかんを問わず、すべての固定資産を通じて単一の税率により課税をする仕組みをとっているのは、このような固定資産税の基本的な性格に基づくものである。

したがって、市町村が制度税率の範囲内で超過税率を採用する場合においても、その税率はすべての固定資産を通じて一律のものでなければならないものと考えられること。

2 次に地方税法第六条第二項に規定するところにより、固定資産税について不均一な課税方法を採用し、特定の固定資産に対して他の固定資産と異なる税負担を求めることは例外的に認められるところである。

しかし、この場合においても、1に述べた固定資産税の基本的な正確及びこれを前提として組み立てられた法制度の建前に即し、いやしくもこれを逸脱するような運用は許されないものであること。

3 超過課税を行う祭に、例えば単に法人と個人というような固定資産の所有者の区分、課税標準額の大小、固定資産の種類の別又は用途の別等によって税負担に差を設けるような措置をとることは、上記の趣旨にかんがみ、法の予定するところではないので行うべきではないこと。

 

 

 

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